○東広島市文化財保護条例
平成19年3月7日
条例第9号
東広島市文化財保護条例(昭和49年東広島市条例第140号)の全部を改正する。
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第182条第2項の規定に基づき、東広島市内にある文化財を保存し、かつ、その活用を図り、もって市民の文化的向上に資するとともに、本市文化の発展に寄与することを目的とする。
(1) 文化財 法第2条第1項第1号から第5号までに掲げる有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物、文化的景観及び法第92条第1項に規定する埋蔵文化財をいう。
(財産権等の尊重及び他の公益との調整)
第3条 教育委員会は、この条例の施行に当たり、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
(指定又は選定)
第4条 教育委員会は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ要件を満たす文化財を東広島市文化財に指定(以下「市指定」という。)又は選定(以下「市選定」という。)(以下これらを「市指定等」という。)することができる。
(1) 東広島市重要文化財(以下「市重要文化財」という。) 市内に存する有形文化財(法第27条第1項の規定により指定された重要文化財又は県条例第3条第1項の規定により指定された県重要文化財を除く。)のうち市にとって重要なもの
(2) 東広島市重要無形文化財(以下「市無形文化財」という。) 市内に存する無形文化財(法第71条第1項の規定により指定された重要無形文化財又は県条例第23条第1項の規定により指定された県無形文化財を除く。)のうち市にとって重要なもの
(3) 東広島市重要有形民俗文化財(以下「市有形民俗文化財」という。) 市内に存する有形の民俗文化財(法第78条第1項の規定により指定された重要有形民俗文化財又は県条例第29条第1項の規定により指定された県有形民俗文化財を除く。)のうち市にとって重要なもの
(4) 東広島市重要無形民俗文化財(以下「市無形民俗文化財」という。) 市内に存する無形の民俗文化財(法第78条第1項の規定により指定された重要無形民俗文化財又は県条例第29条第2項の規定により指定された県無形民俗文化財を除く。)のうち市にとって重要なもの
(5) 東広島市史跡、東広島市名勝又は東広島市天然記念物(以下「市史跡名勝天然記念物」という。) 市内に存する記念物(法第109条第1項の規定により指定された史跡名勝天然記念物又は県条例第36条第1項の規定により指定された県史跡名勝天然記念物を除く。)のうち市にとって重要なもの
(6) 東広島市重要文化的景観(以下「市重要文化的景観」という。) 市内に存する文化的景観(法第134条第1項の規定により選定された重要文化的景観を除く。)のうち市にとって重要なもの
3 東広島市文化財について法の規定により指定若しくは選定又は県条例の規定により指定があったときは、当該東広島市文化財の市指定等又は市認定は、解除されたものとする。
4 教育委員会は、前項の場合において、その旨を告示するとともに東広島市文化財の所有者等又は保持者等に通知しなければならない。
(管理責任者による管理)
第6条 市重要文化財、市有形民俗文化財、市史跡名勝天然記念物又は市重要文化的景観(以下これらを「市重要文化財等」という。)の所有者等は、特別の事情があるときは、専ら自己に代わって市重要文化財等を管理する者(以下「管理責任者」という。)を選任し、当該市重要文化財等の管理等をさせることができる。
2 市重要文化財等の所有者等は、前項の規定により管理責任者を選任したときは、当該管理責任者と連名の上、その旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を変更し、又は解任した場合も同様とする。
(管理団体による管理)
第7条 市重要文化財等につき、所有者等が判明しない場合又は所有者等若しくは管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であると明らかに認められる場合には、教育委員会は適当な法人又は団体(以下「管理団体」という。)を指定して、当該市重要文化財等の保存のために必要な管理を行わせることができる。
2 教育委員会は、前項の規定による指定をした場合には、所有者等が判明しないときを除き、当該市重要文化財等の所有者等及び管理責任者に対し、その旨を通知するものとする。
3 市重要文化財等の所有者等及び管理責任者は、正当な理由なく、管理団体が行う管理又はその管理に必要な措置を拒み、妨げ、又は忌避してはならない。
4 教育委員会は、第1項に規定する事由が消滅した場合その他特殊の事由があるときは、当該管理団体の指定を解除することができる。
(管理団体の管理の費用)
第8条 管理団体が管理する市重要文化財等の管理に要する費用については、この条例に特別の定めがある場合を除き、当該管理団体の負担とする。
2 前項の規定は、管理団体と所有者等又は管理責任者との協議により、管理団体が行う管理により所有者等又は管理責任者の受ける利益の限度において、管理に要する費用の一部を所有者等又は管理責任者の負担とすることを妨げるものではない。
(所有者等の管理義務等)
第9条 東広島市文化財の所有者等、管理責任者及び管理団体並びに保持者等は、この条例及び教育委員会規則の定めるところにより、当該東広島市文化財を管理しなければならない。
2 市重要文化財又は市有形民俗文化財の修理、市史跡名勝天然記念物又は市重要文化的景観の復旧は、所有者等又は管理責任者が行うものとする。ただし、管理団体がある場合は、当該管理団体に行わせるものとする。
3 管理団体が前項の規定により、修理又は復旧(以下これらを「修理等」という。)を行う場合は、管理団体は、あらかじめ、その修理等の方法及び時期について当該市重要文化財等の所有者等の意見を聴かなければならない。
(滅失、損傷等)
第10条 市重要文化財等の全部又は一部が滅失し、若しくは損傷し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者等(管理責任者又は管理団体がある場合は、当該管理責任者又は管理団体。以下同じ。)は、その旨を教育委員会に届け出なければならない。
(所在の変更)
第11条 市重要文化財又は市有形民俗文化財の所有者等は、当該東広島市文化財の存する場所を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を教育委員会に届け出なければならない。ただし、教育委員会規則に定める場合は、届出を要せず、又は変更後、届け出ることをもって足りる。
(管理又は修理等の補助)
第12条 教育委員会は、市重要文化財等の管理又は修理等につき多額の経費を要し、所有者等がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、その経費の一部に充てさせるため、当該所有者等に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 教育委員会は、前項の規定により補助金を交付する場合には、その補助の条件として、管理又は修理等について所有者等に対し、必要な指示をすることができる。
3 教育委員会は、第1項の規定による補助金を交付する場合には、必要に応じて、管理又は修理等について所有者等に対し、指揮監督することができる。
(管理又は修理等の勧告)
第13条 教育委員会は、市重要文化財等の管理が適当でないことにより当該市重要文化財等が滅失し、損傷し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、当該所有者等に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
2 教育委員会は、市重要文化財等が損傷している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、その修理等について所有者等に対し、必要な勧告をすることができる。
3 教育委員会は、前2項の規定による勧告に基づく措置又は修理等のために要する費用について、所有者等に対し、予算の範囲内でその全部又は一部を補助することができる。
(現状変更等の制限)
第14条 市重要文化財等の所有者等は、当該市重要文化財等の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置をとる場合若しくは保存に影響を及ぼす行為については影響が軽微である場合は、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、教育委員会規則で定める。
3 教育委員会は、第1項の許可をする場合において、必要な条件を付することができる。
2 教育委員会は、市重要文化財等の保護上必要があると認めるときは、前項の届出に係る修理等について所有者等に対し、技術的な指導又は助言をすることができる。
(所有者等による公開)
第16条 教育委員会は、市指定の東広島市文化財の所有者等又は保持者等に対し、3か月以内の期間を限って、当該市指定の東広島市文化財の公開を勧告することができる。
2 教育委員会は、前項の規定による公開及び公開に係る市指定の東広島市文化財の管理について、所有者等又は保持者等に対し、必要な指示をするとともに、必要があると認めるときは、当該管理について指導又は助言をすることができる。
3 教育委員会は、第1項の規定による公開のために要する費用について、所有者等又は保持者等に対し、予算の範囲内でその全部又は一部を補助することができる。
(教育委員会による公開)
第17条 教育委員会は、市指定の東広島市文化財の所有者等又は保持者等に対し、6か月以内の期間を限って、当該市指定の東広島市文化財を教育委員会が行う公開の用に供することを勧告することができる。
2 教育委員会は、前項の規定により市指定の東広島市文化財が公開されたときは、その職員のうちから、当該市指定の東広島市文化財の管理の責めに任ずべき者を定めなければならない。
3 教育委員会は、第1項の規定による公開のために要する費用について、予算の範囲内でその全部又は一部を教育委員会において負担することができる。
(保存のための調査)
第18条 教育委員会は、必要があると認めるときは、東広島市文化財の所有者等又は保持者等に対し、当該東広島市文化財の現状又は管理、修理等若しくは環境保全の状況について、報告を求めることができる。
2 教育委員会は、必要があると認めるときは、東広島市文化財の所有者等又は保持者等に対し、当該東広島市文化財の現状について確認又は調査を行うことができる。
(所有者等の変更届等)
第19条 市重要文化財等の所有者等を変更したときは、新たに所有者等となった者は、その旨を教育委員会に届け出なければならない。
2 市重要文化財等の所有者等は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、その旨を教育委員会に届け出なければならない。
3 市史跡名勝天然記念物又は市重要文化的景観の所有者等は、当該東広島市文化財の指定地内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があった場合は、その旨を教育委員会に届け出なければならない。
(保持者等の変更届等)
第20条 市無形文化財又は市無形民俗文化財の保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したときその他教育委員会規則で定める理由があるときは、保持者又はその相続人は、その旨を教育委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあっては、代表者であった者)について同様とする。
(所有者等の変更に伴う権利義務の承継)
第21条 市重要文化財等の所有者等を変更したときは、新たに所有者等となった者は、当該市重要文化財等に関し、この条例に基づく市の勧告、指導その他の処分による旧所有者等の権利義務を承継する。
(審議会の設置)
第22条 教育委員会の諮問に応じて、文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査し、並びに審議するため、法第190条の規定に基づき、教育委員会に東広島市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(諮問)
第23条 教育委員会は、次に掲げる事項については、あらかじめ、審議会に諮問しなければならない。
(1) 市重要文化財の市指定又はその解除
(2) 市無形文化財の市指定若しくは保持者等の市認定又はその解除
(3) 市有形民俗文化財の市指定又はその解除
(4) 市無形民俗文化財の市指定若しくは保持者等の市認定又はその解除
(5) 市史跡名勝天然記念物の市指定又はその解除
(6) 市重要文化的景観の市選定又はその解除
(7) その他文化財の保存及び活用に関する重要な事項
(組織)
第24条 審議会は、委員15人以内で組織する。
2 教育委員会は、審議会から要請があった場合において、特別の事項に関し意見を求めるため特に必要があると認めるときは、審議会に臨時の委員(以下「臨時委員」という。)を置くことができる。
3 審議会の委員(以下「委員」という。)及び臨時委員は、知識及び経験を有する者のうちから教育委員会が委嘱する。
4 委員の任期は2年とし、補欠の委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
5 臨時委員は、第2項に規定する当該事項の調査又は審議が終了したときは、解嘱されるものとする。
(審議会の会長及び副会長)
第25条 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
(審議会の会議)
第26条 審議会の会議(以下「会議」という。)は、教育委員会の諮問に応じて会長が招集し、会長が議長となる。
2 会議は、委員の半数以上が出席しなければ、開くことができない。
3 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(委任)
第27条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会が規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際改正前の東広島市文化財保護条例(以下「旧条例」という。)第3条第1項の規定により指定された東広島市指定重要文化財は、改正後の東広島市文化財保護条例(以下「新条例」という。)第4条第1項の規定により指定されたものとみなす。
3 旧条例第12条第1項の規定により置かれた東広島市文化財保護委員会は、新条例第22条の規定により置かれた審議会となり、同一性をもって存続するものとする。
4 この条例の施行の際現に東広島市文化財保護委員会の委員である者は、当該任期の満了までの間、審議会の委員とみなす。