○東広島市水難救助業務規程
平成17年2月7日
消防局訓令第22号
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号)その他別に定めるもののほか、水難救助(水難事故に際して行う救助活動をいう。)を迅速、確実かつ安全に実施するために必要な事項を定める。
(1) 潜水 自ら携行する空気ボンベから給気を受けてする潜水
(2) 潜水作業 水難救助又は消防局長若しくは消防署長(以下「署長」という。)が特に必要と認めた場合において行う水面域又は水面下において潜水を伴う作業
(3) 潜水訓練 潜水作業の練度の維持及び技術の向上を図るため行う訓練
(4) 水難事故 水泳中の溺者、水中転落等水域における人命救助を要する事象
(5) 潜水隊長 署長の指名を受け、潜水作業を行う現場において潜水隊員及び予備潜水員を直接指揮する者
(6) 潜水隊員 第5条の規定による署長が指名した潜水隊員
(7) 予備潜水員 潜水隊員の中から交替要員として潜水隊長から指名を受け、潜水隊員に事故が発生又は発生のおそれがあるとき救援に従事する者
(潜水隊の編成及び配置)
第3条 潜水隊は、消防署において編成する。
2 潜水隊は、原則として潜水隊長1人、潜水隊員2人、予備潜水員1人以上をもって1隊とする。ただし、潜水隊長は潜水隊員を兼務することができる。
(潜水隊の装備)
第4条 潜水隊の装備は、潜水器具、ウエットスーツその他の潜水及び水難救助用資器材とする。
(潜水隊員の指名)
第5条 署長は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第72条に規定する潜水士免許証の交付を受けた者のうち、自給気式潜水訓練を修了した者の中から潜水技術体力等を考慮してあらかじめ潜水隊員を指名し、当該潜水隊員に潜水作業を実施させるものとする。
(潜水作業の実施)
第6条 署長は、潜水隊長を指揮監督し、常に装備を有効に保持し、適切な潜水作業を行わなければならない。
(一部改正〔平成19年消防局訓令4号・21年6号〕)
(潜水隊長の任務)
第7条 潜水隊長は、潜水作業を掌理し、潜水隊員及び予備潜水隊員を指揮監督する。
(全部改正〔平成19年消防局訓令4号〕)
(隊員の召集)
第8条 署長は、潜水作業が長時間におよぶとき又は2以上の潜水隊が必要な場合は、非番潜水隊員を召集するものとする。
(潜水作業の基準)
第9条 潜水作業を実施する場合において、署長は次に掲げる基準を原則として、潜水隊員の潜水技術、能力、作業環境等を総合的に判断し、潜水作業を行うか否か、検索方法等を決定するものとする。
(1) 水深は、おおむね10メートル以内とする。
(2) 水流は、おおむね0.75メートル/毎秒以内とする。
(3) 水中視界は、おおむね0.5メートル以上とする。
(4) 潜水作業時間は、日の出から日没までの間とする。ただし、水面上に十分な照度及び水中照明を確保でき、潜水隊員の安全管理上支障がないと署長が認めたときはこの限りでない。
(5) 水温は、おおむね摂氏7度以上とする。
(潜水隊長の留意事項)
第10条 潜水隊長は、次に掲げる事項に留意して潜水作業を実施しなければならない。
(1) 潜水作業実施前に潜水隊員の健康状態を観察するとともに、潜水作業の可否について潜水隊員に申告させ、体調不良の者を潜水作業に従事させてはならない。
(2) 関係者等の情報又は現場の状況から活動区域を定めるとともに、活動障害の把握に努めること。
(3) 活動区域は、陸上又は潜水隊の救命ボート等からおおむね30メートル以内とすること。
(4) 水深、流速、水中の視界等により、検索方法を決定すること。
(5) 潜水前に各潜水隊員の潜水器具の着装状況、ボンベ圧力等を確認すること。
(6) 潜水は2人1組(以下「バディ」という。)を原則とし、潜水中の潜水隊員にトラブルが発生した場合は、直ちに救援できる予備潜水員を待機させておくこと。
(7) 潜水作業中は常に周囲の状況に注意し、関係者以外の潜水活動区域への進入を規制すること。
(8) 潜水作業を実施している潜水隊員の気泡、確保ロープの動き等を監視し、活動状況の把握に努めること。
(9) 潜水した隊員をおおむね5分ごとに浮上させ、残圧の確認を行うとともに、状況により検索方法及び区域を修正し、又は潜水隊員の交替を行うこと。
(10) 潜水作業中に二次災害の発生が予想されるときは、直ちに潜水作業を中止し、潜水隊員を浮上させること。
(11) 潜水作業終了後は、潜水深度及び潜水時間に応じ、体内ガス減圧のため必要な措置を講ずること。
(12) 水深10メートル以上で活動する場合、潜水隊員1人当たりの潜水時間は空気ボンベ(12リットル・19.6メガパスカル)1本を限度とし、以後12時間以内の潜水作業は行わせないこと。
(潜水隊員の留意事項)
第11条 潜水隊員は、次に掲げる事項に留意して潜水作業を実施しなければならない。
(1) 潜水前及び潜水中に自己の体調が不良の場合は、その旨を潜水隊長に申告すること。
(2) 潜水隊長等から指示された活動方針、検索要領等を十分理解した上で潜水作業を実施すること。
(3) 潜水器具を着装前に点検し、着装後はバディ相互で着装状況等を再度確認すること。
(4) 潜水可能時間は、空気ボンベ圧力、潜水深度、空気消費量等を考慮し潜水時間の短い者に設定すること。
(5) 水中では、信号により常に相互の連携を保つこと。
(6) 視界不良水域では、障害物を確認しながら移動し、水中のくい、ロープ等により身体を拘束されないよう注意すること。
(7) 潜降及び浮上は、原則として確保ロープを使用すること。
(8) 堆積物の多い水域では、キックによる視界不良を生じるおそれがあるため移動に注意すること。
(9) 空気ボンベの残圧計指針を随時確認し、おおむね3メガパスカルになった場合又は予備空気層の使用が必要となった場合は、バディで直ちに浮上すること。
(10) 潜水中にトラブルが発生した場合は、単独で反射的な行動をとることなくバディに連絡し対処すること。
(11) 緊急浮上を行う場合は、肺の破裂を防ぐため息を吐きながら浮上することとし、息を止めてはならない。
(12) バディとの連絡が途絶えた場合は、次により対応すること。
ア すべての動作を止めて、その場に停止すること。
イ 相手方の呼吸音、信号音等を聞くこと。
ウ 金具等で信号を発し、相手からの信号の有無を確認すること。
(13) 装備品等が障害物にからまった場合は、バディ相手方に合図し、救援を依頼すること。脱出まで時間がかかると判断された場合は、呼吸を整えた後装備品等を脱着し、息を吐きながら浮上すること。
(一部改正〔平成19年消防局訓令4号〕)
(潜水訓練)
第12条 署長は、潜水作業を行うために必要な知識及び技術の修得並びに当該技術の向上を図るため、潜水訓練を定期的に実施しなければならない。
2 潜水訓練は、潜水隊長が指揮して実施する。
(一部改正〔令和3年消防局訓令14号〕)
(潜水器具の保守管理)
第13条 潜水器具の保守管理については、次に掲げるところによる。
(1) 使用後は、真水で十分な洗浄を行い、陰干した後収納すること。
(2) 空気ボンベは、常時圧力14.7メガパスカル以上に充填しておくこと。
(定期健康診断等による措置)
第14条 潜水隊員は、東広島市が実施する定期健康診断等の結果その他身体に異常があると認めるときは、署長に報告しなければならない。
2 署長は、前項の報告があったときは、当該潜水隊員に対し、適切な措置を講じなければならない。
(再圧室の準備)
第15条 署長は、潜水作業を実施する場合は、事前に高気圧治療を行うことができる医療機関と緊密な連絡をとり、必要な場合に直ちに利用できる措置を講じておかなければならない。
(水難救助業務等の報告)
第16条 潜水隊長は、潜水作業を実施したときは、水難救助業務報告書(別記様式第2号)に所要事項を記録し、署長に報告しなければならない。
2 潜水隊長は、潜水訓練を実施した場合、潜水訓練報告書(別記様式第3号)により署長に報告するものとする。
3 署長は、前2項の規定による報告を受けた場合において、当該報告が特異な事案に係るものであると認めるときは、その内容を局長に報告しなければならない。
(一部改正〔令和3年消防局訓令14号〕)
(電磁的記録による作成)
第17条 この訓令の規定により作成することとされている書類については、当該書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)の作成をもって、当該書類の作成に代えることができる。この場合において、当該電磁的記録は、当該書類とみなす。
(追加〔令和3年消防局訓令14号〕)
附則
この訓令は、平成17年2月7日から施行する。
附則(平成19年3月30日消防局訓令第4号)
この訓令は、平成19年4月1日から施行する。
附則(平成21年3月19日消防局訓令第6号)
この訓令は、平成21年4月1日から施行する。
附則(令和3年4月1日消防局訓令第14号)
1 この訓令は、令和3年4月1日から施行する。
2 この訓令の施行の際現にあるこの訓令による改正前の様式(次項において「旧様式」という。)により使用されている書類は、この訓令による改正後の様式によるものとみなす。
3 この訓令の施行の際現にある旧様式による用紙については、当分の間、これを取り繕って使用することができる。
(一部改正〔令和3年消防局訓令14号〕)
(一部改正〔令和3年消防局訓令14号〕)