○東広島市議会基本条例

平成25年3月6日

条例第12号

目次

前文

第1章 条例制定の目的(第1条)

第2章 議会活動および議員活動の原則(第2条―第6条)

第3章 市民と議会との関係(第7条―第10条)

第4章 議会と市長等との関係(第11条―第14条)

第5章 議会の機能強化(第15条―第24条)

第6章 議員定数と議員報酬(第25条・第26条)

第7章 不断の議会改革・活性化(第27条)

第8章 最高規範性と見直し手続き(第28条・第29条)

附則

議会は、日本国憲法によって定められた市民を代表する唯一の議事機関であり、地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第1項に規定する議決事件にとどまらず、法律に反しない限り、議決すべき事件を定める権限等を有する。

平成12年4月に施行された地方分権一括法により機関委任事務が廃止され、地方自治体は、自らの判断と責任により地域の実情に沿った行政を実践していくことになり、議会が担う役割や責任がより一層重要なものになった。

二元代表制の一翼を担う議会は、地方自治体の執行権者である市長に対する監視機能、市民の意見を市政に反映させた政策の立案・提言・提案(以下「政策立案等」という。)の機能を十分に発揮し、地方自治体の意思決定機関としての役割を果たしていかなくてはならない。

そのため、議会は、これまで以上に公正性および透明性を確保し、積極的に情報公開を行うとともに、政策活動等への多様な市民参加を推進していく必要がある。

同時に、議員は、不断の自己研鑽に努め、多様な市民の、多様な意見を、多様に代表する合議機関の一員として、市民との活発な意見交換を図り、自らが得た意見を議員同士の自由な討議をもとに論点や課題を明らかにし、市民本位の立場で意見を集約していく必要がある。

このような認識のもと、東広島市議会は急激かつ斬新な環境変化に、迅速かつ的確に対応していくために、議会および議員自らが改革・活性化を進めることにより、不断に進化・成長していかなければならない。

ここに、東広島市議会は、市民と議会の関係や議会と市長の関係、議会運営等に関する基本理念および基本的事項を定めることにより、市民の厳粛な信託に応える議会にすることを決意し、この条例を制定する。

第1章 条例制定の目的

(目的)

第1条 この条例は、二元代表制のもと、合議制の機関である議会の役割を明らかにするとともに、議会活動および議員活動の充実のために必要な基本理念および基本的事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づく市民の負託に的確に応え、安心して生活できる、東広島市の豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。

第2章 議会活動および議員活動の原則

(議会の活動原則)

第2条 議会は、公平性および透明性を確保するとともに、市民本位で分かりやすく、開かれた議会を目指し、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 市政の運営を監視し、評価すること。

(2) 積極的に政策立案等を行うこと。

(3) 市民参加の機会を拡充し、意見や意思の把握に努めること。

(4) 市民への説明責任を果たすよう努めること。

(5) 市民に分かりやすい視点・方法等で、議会運営を行うよう努めること。

(災害時の対応)

第2条の2 議会は、災害により市内に被害が発生し、又はそのおそれがあるときは、市民生活の安定及び維持が図られるようにするため、迅速かつ的確な対応をとるよう努めなければならない。

2 議会は、前項に規定する対応に関する計画を定めるものとする。

(追加〔令和3年条例2号〕)

(議員の活動原則)

第3条 議員は、言論の府であり合議制による議事機関の一員であることを認識し、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 市民の意見や意思の把握に努めること。

(2) 情報収集および調査・研究に努めること。

(3) 積極的な政策立案等に努めること。

(4) 市民に対する説明責任を果たすよう努めること。

(5) 議員相互間の自由な討議を重んずること。

(6) 自らの資質向上のため、不断の研鑽に努めること。

(議長の責務)

第4条 議長は、二元代表制の一翼を担う議会を代表し、中立かつ公正な職務の遂行に努めるとともに、議会の品位を保持し、民主的かつ効率的な議会運営に努めるものとする。

(会派)

第5条 議員は、議員活動を行うため、会派を結成することができる。

2 会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成する。

3 会派は、市民の意見を把握し、諸課題に関する情報収集、調査研究、研修等を行うことにより、積極的な政策立案等に努めるものとする。

(政務活動費)

第6条 政務活動費については、別に条例で定める。

2 会派は、調査、研究および政策立案等に資するため、政務活動費を活用するとともに、その使途を明らかにしなければならない。

第3章 市民と議会との関係

(説明責任)

第7条 議会は、市民に対し、本会議、常任委員会、特別委員会、議会運営委員会、全員協議会及び広報広聴委員会を原則公開とするとともに、議会の情報を積極的に発信し、説明責任を果たすものとする。

(一部改正〔令和3年条例2号〕)

(市民参加)

第8条 議会は、地方自治法の規定に基づき、公聴会制度、参考人制度、学識経験者等による専門的調査を十分に活用し、市民の専門的または政策的識見等を聞き、議案審査および政策立案等に反映させるように努めるものとする。

2 議会は、市民の多様な意見を把握し、政策立案等に反映し得る合議体としての特色を最大限に発揮するために、広く市民との意見交換の場を設けるものとする。

(広報広聴活動)

第9条 議会は、市民に開かれた市民参加型議会を実現するため、広報広聴機能の充実に努める。

2 議員で構成する広報広聴委員会を設置する。

3 広報広聴委員会に関し必要な事項は、別に定める。

(議決責任)

第10条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、地方自治体としての意思決定または政策決定をしたときは、市民に対して説明責任を有する。よって、各議決事件に対する議員の表決態度を公開するものとする。

第4章 議会と市長等との関係

(市長等との関係)

第11条 議会審議における議員と市長、その他の執行機関およびこれらの補助機関である職員(以下「市長等」という。)との関係は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めるものとする。

(1) 本会議における議員と市長等との質疑応答は、論点および争点を明確にするため、一問一答方式で行うことができる。

(2) 議長から会議に出席を要請された市長等は、議長または委員長の許可を得て反問することができる。

(3) 議員は、会議における討議に資するため、市長等に対し、資料の提供を求めることができる。

(政策等の形成過程の説明)

第12条 議会は、提案される重要な政策、施策又は計画等(以下「政策等」という。)について、議会審議における論点情報を形成し、政策等の水準を高めるとともに、議決責任を担保するため、市長等に対し、次に掲げる政策等の形成過程に関する事項について明らかにするよう求めるものとする。

(1) 政策等を必要とする背景

(2) 政策等の提案に至るまでの経緯

(3) 他に検討を行った案

(4) 他の地方自治体の類似する政策との比較検討

(5) 東広島市総合計画における根拠または位置付け

(6) 関係ある法令および条例等

(7) 政策等の実施に関わる財源措置

(8) 将来にわたる政策等の効果および費用

2 議会は、前項の政策等の審議に当たっては、立案および執行における論点および争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。

(予算および決算における政策説明資料の提出)

第13条 議会は、予算案および決算の審議に当たっては、前条の規定に準じて、市長等に対し、施策別または事業別の分かりやすい政策説明資料の提出を求めるものとする。

(議決事件の拡大)

第14条 地方自治法第96条第2項の規定に基づく議会の議決事件は、議会と市長等が共に市民に対する責任を担いながら、計画的かつ市民の視点に立った透明性の高い市政の運営に資するため、次に掲げるものとする。

(1) 東広島市総合計画基本構想および東広島市総合計画の策定、変更に関するもの

(2) 市民生活に重大な影響を及ぼすことが予想される計画、施策事業等の策定および変更に関わるもので別に定めるもの

第5章 議会の機能強化

(議員間の自由討議)

第15条 議会は、議員による討論の場であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議を中心に運営されなければならない。

2 議会は、会議において、議員提出議案、市長提出議案および市民提案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の自由な討議により議論を尽くして合意形成に努めなければならない。

(政策研究会)

第16条 議会は、市政に関する重要な政策等および課題に対して、議員が相互に認識を深め、合意形成を図り、もって政策立案等を推進するため、政策研究会を設置するものとする。

(委員会)

第17条 常任委員会、特別委員会および議会運営委員会(以下「委員会」という。)は、議案審査に当たって、資料等を積極的に公開しながら、市民に分かりやすい議論を行うように努めるものとする。

2 委員会は、その所管に属する事務について、積極的に調査・研究を行い、議案審査に資するとともに、政策立案等を行うよう努めるものとする。

(附属機関)

第18条 議会は議会活動に関する審査または調査のため必要があると認めるときは、附属機関を設置することができる。

2 前項の附属機関は、別に条例で定める。

(議員研修)

第19条 議会は、議員の政策立案等に係る能力の向上を図るため、議員研修の充実・強化に努めるものとする。

2 議会は、議員研修の充実・強化に当たり、広く各分野の専門家、市民等の識見の積極的な活用に努めるものとする。

(議会事務局)

第20条 議会は、議員の政策立案等を補助する組織として、議会事務局の調査機能および法務機能の充実・強化、ならびに組織体制の整備を図るよう努めるものとする。

2 議長は、議会事務局の体制整備のため、大学等の研究機関ならびに専門的な知見および経験を有するものの積極的な活用を図るものとする。

(予算の確保)

第21条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めるものとする。

(議会図書室)

第22条 議会は、議員の調査研究に資するため、設置する議会図書室を適正に管理し、運営するとともに、その機能の充実・強化に努めるものとする。

(議会広報の充実)

第23条 議会は、議会の活動について、市民に対し、分かりやすく周知しなければならない。

2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、より多くの市民が議会と市政に関心をもつよう広報活動を行うものとする。

(政治倫理)

第24条 議員は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その信託に応えるため、政治倫理の確立および向上に努めなければならない。

2 議員の政治倫理は、別に条例で定める。

第6章 議員定数と議員報酬

(議員定数)

第25条 議員の定数は、市政の現状および課題、将来の予測および展望等を考慮し、行財政改革の視点だけではなく、多様な市民の意見を十分に議会に反映できるものとする。

2 議員の定数は、別に条例で定める。

3 議会は、前項の条例の改正を検討するに当たっては、公聴会制度、参考人制度等を活用し、市民の意見の聴取および反映に努めるものとする。

4 委員会または議員は、第2項の条例の改正について議案を提出しようとするときは、改正の理由を明らかにして提出するものとする。

(議員報酬)

第26条 議員報酬は、社会的経済情勢、市の財政状況等を十分に考慮するとともに、二元代表制の一翼である議会活動が保障されるものとする。

2 議員報酬は、別に条例で定める。

3 議会は、前項の条例の改正を検討するに当たっては、公聴会制度、参考人制度等を活用し、市民の意見の聴取および反映に努めるものとする。

4 委員会または議員は、第2項の条例の改正について議案を提出しようとするときは、改正の理由を明らかにして提出するものとする。

第7章 不断の議会改革・活性化

(議会改革の継続)

第27条 議会は、常に市民の意見、社会情勢の変化等を勘案して、議会運営に係る不断の評価および改善を行うものとする。

2 議会は、公正で民主的かつ活発な議会活動を展開するとともに、市民に開かれた議会を実現するため、継続して議会の改革・活性化に取り組むものとする。

3 議会は、議員の一般選挙を経た任期開始後、速やかにこの条例について理解を深めるための研修会を開催しなければならない。

第8章 最高規範性と見直し手続き

(最高規範性)

第28条 この条例は、議会における最高規範であり、議会に関する他の条例などを解釈し、または制定し、もしくは改廃するに当たっては、この条例の趣旨を尊重し、この条例に定める事項との整合を図らなければならない。

(見直し手続き)

第29条 議会は、この条例の目的が達成されているかどうかを検証および検討を行い、必要があると認める時は、適切な措置を講じるものとする。

この条例は、平成25年4月1日から施行する。

(令和3年2月22日条例第2号)

この条例は、令和3年4月1日から施行する。

東広島市議会基本条例

平成25年3月6日 条例第12号

(令和3年4月1日施行)

体系情報
第2類 議会・選挙・監査/第1章
沿革情報
平成25年3月6日 条例第12号
令和3年2月22日 条例第2号