○東広島市地域共生社会の形成を図るための施策の推進に関する条例
令和3年3月2日
条例第7号
本市は、市制の施行以後、様々な世代及び地域の人々のたゆまぬ努力により、活力あふれ、国際色豊かなまちへと発展を遂げてきた。
しかしながら、少子高齢社会の到来、核家族化及び単身世帯の増加にみられる家族構成の変化等の社会情勢の変化は、本市にも少なからず影響を及ぼしつつある。本市の社会的、経済的及び文化的な発展の一方で、地域社会においては人間関係が希薄化しつつあり、生活、健康、育児その他日常生活上の不安、課題等を抱えている人々が、誰にも相談することができずに孤立を深めていく状況も生じてきている。
我々は、このような状況を見逃すことはできない。地域社会における人と人とのつながりの重要性を改めて確認し、お互いを尊重し、気遣い、見守り合うことで、生活上の不安、課題等を抱えている住民を地域で支えるとともに、地域社会の持続的な発展のため、福祉、保健医療、労働、教育、住宅、地域再生その他の様々な分野に関わる者が協働する社会を、このまちで構築していくために、自ら行動を起こすことが強く求められている。
ここに、誰一人取り残さず、地域で共に生きていくことができる社会の形成を推進するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、市民一人一人が相互に支え合い、安心して暮らすことができる地域社会の形成を図るための施策に関し基本理念を定め、市、市民、事業者及び関係機関の責務を明らかにするとともに、地域共生社会の形成を図るための施策の基本となる事項を定めることにより、当該施策を推進し、もって地域共生社会の形成に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「地域共生社会」とは、市民がそれぞれの人格及び個性を尊重し合いながら、地域社会に主体的に参画することにより、相互に支え合い、全ての人々が生きがいを持ち、かつ、安心して日常生活を営むことができる社会をいう。
(基本理念)
第3条 地域共生社会の形成は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。
(1) 全ての人々が希望を持ち、個人としての尊厳が重んぜられ、安心して日常生活を営むことができる社会が構築されるようにすること。
(2) 全ての人々がそれぞれの多様性を受け入れた上で、地域社会において、相互扶助の精神に基づき、地域生活課題(社会福祉法(昭和26年法律第45号)第4条第3項に規定する地域生活課題をいう。以下同じ。)の解決に資する支援が図られるようにすること。
(3) 全ての人々が、地域社会を構成する一員として、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保され、地域社会の持続的な発展のために協働すること。
(4) 全ての人々が地域社会から孤立することを防止すること。
(5) 地域生活課題の解決に資する支援が、関係機関の連携の下、包括的に提供されるよう体制の整備が図られること。
2 前項の施策を講ずるに当たっては、地域共生社会が、福祉及び保健医療のみならず、労働、教育、住宅、地域再生その他の分野における各般の課題の解決を図ることを通じて形成されるものであることに留意しなければならない。
(市民等の責務)
第5条 市民、事業者及び関係機関(以下「市民等」という。)は、基本理念を踏まえ、相互に連携し、市が実施する地域共生社会の形成を図るための施策に協力するよう努めるものとする。
2 市民等は、地域生活課題の把握及びその解決に資する取組への積極的な参画に努めるものとする。
(基本方針)
第6条 市は、地域共生社会の形成を図るための施策の推進に関する方針(次項において「基本方針」という。)を策定しなければならない。
2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 地域共生社会の形成に寄与する人材の育成及び地域共生社会の形成についての意識の啓発に関する事項
(2) 地域共生社会の形成を図るための地域活動等の創出に関する事項
(3) 地域共生社会の形成を図るための社会環境の整備に関する事項
(4) 地域共生社会の形成を図るための施策の推進体制の構築に関する事項
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項
(啓発活動等)
第7条 市は、地域共生社会の形成を図るために必要な啓発活動及び広報活動を行うものとする。
(学習の機会等の提供)
第8条 市は、地域共生社会の形成に関する必要な情報及び学習の機会が市民等に提供されるよう、必要な施策を講ずるものとする。
(人材の育成)
第9条 市は、地域生活課題の解決に資する支援の質の向上を図るため、当該支援について専門的な知識又は技術を有する人材の育成に関し必要な施策を講ずるものとする。
(地域共生社会の形成に資する活動に対する支援等)
第10条 市は、市民等が実施する地域共生社会の形成に資する活動を支援するため、必要な情報の提供、助言その他の措置を講ずるよう努めるとともに、地域共生社会の形成を図るための施策の推進に当たっては、当該市民等との連携が適切に図られるよう留意しなければならない。
(市民等に対する便宜の提供)
第11条 市は、市民等が地域生活課題に関する情報を共有し、その解決に資する支援について主体的に参画することができるよう、その機会、場所その他の便宜の提供に関し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(地域生活課題の解決に資する体制の整備)
第12条 市は、市民が福祉サービスその他の支援を必要とし、又はそのおそれがあると認められる場合に、適切に行政機関その他の関係機関の支援を受けることができるよう、市民等による見守りに関する活動その他の地域生活課題の解決に資する体制の整備に関し必要な施策を講ずるものとする。
附則
1 この条例は、公布の日から施行する。