令和5年度当初予算に係る市長記者会見(令和5年2月9日開催)

更新日:2023年02月28日

令和5年度当初予算に係る市長記者会見を行いました。

配付資料

会見の様子

発表項目について、動画で確認できます。

会見録

1 発表

令和5年度 施策と予算(案)の概要

まず、予算を作るにあたってその前提となる[第五次東広島市]総合計画の策定と推進の状況、それから現在本市を取り巻く様々な社会経済環境の状況、それから、計画推進のための施策と組織と予算の連動、そして財政状況、それから予算化ということで、大きく8本の柱立てで説明する。
【資料1ページ】
本市の[第五次東広島市]総合計画は令和2年の3月に策定した。2030年を目標に、1ページ下部にある網掛けした箇所にあるように、将来都市像「未来に挑戦する自然豊かな国際学術研究都市~住みたい、働きたい、学びたいまち、東広島~」をキャッチフレーズに、現在推進しているところである。目指す方向性は二つあり、一つは「世界に貢献するイノベーション創造のまち」、もう一つは「暮らし輝き笑顔あふれる生活価値創造のまち」である。
「世界に貢献するイノベーション創造のまち」は、これまで学術研究都市として発展してきたが、さらにそれを進化することによって、世界に貢献するようなイノベーションが創造できるようなまちを作っていく。もう一つは、本市は600平方キロメートルを超える大きな面積を有し、中山間地域もあるという中で、様々な課題が凝縮している。その中山間地域において、豊かな自然環境を享受しながら、快適な暮らしをしていこうというもので、そういうまちづくりが大きな方向である。
おかげさまで「世界に貢献するイノベーション創造のまち」については、大学との連携が進んできた。とりわけ、現在進めている広島大学との、Town&Gownという取組みも進展し、企業も大変関心を持っている。そういう中で、共創コンソーシアム的なものもできつつあり、ふるさと納税企業版なども活用しながら、様々な取組みが今、進んでいる。
もう一つの「暮らし輝き笑顔あふれる生活価値創造のまち」だが、この方向性を示した時にはコロナ[感染拡大]の前で、コロナを経験する中で大きな社会変化が起きている。田園回帰というような現象も起き、ICTの進展によって様々な遠隔で仕事ができる、あるいは医療を受けるような時代も近づいてきている。
一方で、再生可能エネルギーとエネルギー問題もクローズアップされて、再生可能エネルギーの価値が高まり、そしてカーボンニュートラルという中、森林資源が豊富な地域で、明るい兆しというのも見えてきたという中で、これらの地域で幸福を感じてWell-being(幸福度)を実践できるような、そんな地域づくりの可能性も出てきた。こういう中、現在、マツダあるいは博報堂と一緒に生活デザイン研究ということで、中山間地域を中心とするところで循環型経済をどう作っていくかという取組みも進展している。
この二つの大きな方向性だが、5つの柱で現在施策を推進している。まちづくり大綱ということで、仕事づくりから始まって安心づくりの5本立て。まちづくり大綱には30の施策の柱と、それを実現するための60の目的別事業群ということで、現在施策を推進している。
それと[資料の]最後に書いているが地域別計画ということで、多彩な特徴を有する本市である。昭和49年の合併の時、そして平成17年の合併の時、9つのまちが従前は構成されていたが、その9の地域ごとの将来像や主要な施策の方向性をまとめながら、現在、施策を進めている。この底流には、SDGsあるいはデジタルトランスフォーメーションということを意識しながら、様々な課題解決に向けて現在施策を進めている。
【資料2ページ】
本市を取り巻く社会・経済環境として、3点について整理している。
一つは少子化の進行ということで、コロナの中、出生数が日本全国においても80万人を下回る状況になってきた。本市でも人口はなお増加基調にあるが、平成29年から自然減が始まり、最近の出生数でいくと1,400人台になってきた。
国はこの危機感の中で、現在、異次元の少子化対策ということで、国会で様々な議論がされているが、本市でも少子化について包括的な対応をしていく必要があると考えている。
二つ目は人口の偏在と過疎化の進行ということである。先般、総務省の人口移動調査の発表があった。広島県は全国で最も人口移動が多い、流出が多いという数字が出ていた。コロナ禍の中で一旦流れが変わったように見えたが、また東京圏への人口集中、そして地方の過疎化ということも進行している。本市の中を見たときに西条町、八本松町については人口が増加傾向にあるが、その他の町は人口が減少し、とりわけ周辺部ではその減少の率も極めて高いという状況で、言うなら、人口の偏在が本市においても大きな課題になっている。
それから、先ほど申し上げた総合計画の中でSDGsとDXというものを、大きな潮流として考えていると申し上げたが、それが世の中にかなり浸透してきている。自然環境や社会活動の維持など、まさに地球が大きく変わりつつあるという認識が、市民あるいは国民の間にも理解されるようになってきている。企業や大学でもSDGsの取組みが進んできた。
DXについても、生産性の向上にはなくてはならないツールであると考えられ、様々な遠隔地における生活の可能性というものが、これは通信の進展にも関わるが、そういう可能性が出てきている。かつ、これはワークライフバランスを考える上からも、大変重要なものであるという認識が深まっている。
三つ目は、今後の総合計画の推進をどのように図っていくかということをあわせて、今後の施策の重点化、あるいはそれに基づく予算編成が必要だと考えている。施策の重点化に向けたスローガンとしては、『新しい時代をリードする「やさしい未来都市」の実現』ということで、現在取組みを進めている。四つの視点から考えているところである。
まず一つは、地域課題に応じた包括的、パッケージ化した施策を推進していく必要があるということ。主なものは、先ほど本市を取り巻く社会・経済環境の中で申し上げたような少子化対策、あるいは人口偏在対策については、やはり包括的な施策を打っていく必要があるということで、一つは[資料2ページの]下の青色で網掛けをしているところに記載しているが、「子どもの健やかな成長を支え、仕事と子育ての両立を応援」と、それともう一つが「多様性を踏まえた人口減少地域総合対策」。これが必要だと考えている。
【資料3ページ】
2点目の視点として、先ほど申し上げた60の目的別事業群というものを構成しながら、施策を推進しているが、やはりこれにもメリハリを付加した形での重点化ということが必要だと考えており、重点施策と[資料に青色で]網掛けをしているところの6項目。「命と暮らしを守る体制の整備」から、6番目の「持続可能な次世代環境都市の構築」ということで、これらの施策の重点化をしていこうというものである。
それから3点目は施策の推進体制だが、一番上の「業務執行体制の強化と施策の推進」については市の内部的なところであるが、言うならワークライフバランスをしっかり実現していくということが、社会の変容を促す上では大変重要である。隗より始めよではないが、市の組織でそれを実現するような取組みが必要である。昨年、イクボス宣言をしたが、こういう中で働き方の改革を推進していきたい。
その次の「多様な主体との共創、専門人材の活用」だが、行政は多様化あるいは高度化していくという中で、これまで経験していないような業務が大分増えてきている。そういう中から、大学の連携、これは先ほど広島大学と申し上げたが、広島大学をはじめ、近畿大学工学部あるいは広島国際大学ともTown&Gownという取組みを進めながら、そういう大学との連携を図る中、課題解決に向けてともにやっていきたい。あるいは企業の参画において、企業の持つノウハウと融合した形の施策。あるいはDXなどは特にそうだが、外部人材を活用しながら課題解決を進めていくという取組みも必要である。
【資料4ページ】
こういう視点に立って予算編成は、資料に書いているように、「市民起点」「成果主義」「重要度」「課題解決」ということを念頭に置きながら、今回[予算の]編成をした。
【資料5ページ】
今回の予算の規模とポイントは「子育てしやすく、移り住みたくなる未来都市へ!」と名を打って、総額で944億4,000万円の予算を編成したいと考えている。これは対前年比で見ると0.8%の減。[資料の]その下に五つのポツ(・)があり、そのポツ(・)の一番上に書いているが、災害復旧・コロナ対応ということを、ここを3、4年にわたって注力してきたが、それを除くと916億7,000万円余で対前年0.8%の増ということで、この視点で見れば過去最大の予算である。予算推移は[資料の]下の棒グラフをご覧いただきたい。
【資料6ページ】
このような予算編成にあたって、現在本市における財政指標はどのような状況であるかを、資料6ページの5、主な財政指標の状況のところに掲げている。最新のデータでいくと令和3年の経常収支比率は85%、実質公債比率が1.6%。それから令和4年の見込みのところ、財政調整基金の残高が128.5億円、地方債残高が754億6,000万となっている。いずれの数字も他市の状況と比較した時も、健全な財政運営がなされている。類似団体の数字も上げているが、[健全な財政運営が]なされていると考えている。平成30年から始まった災害復旧等も踏まえながら財政運営してきたところだが、基金残高についても平成30年並が令和4年度でも確保できている。
そういう中で今後の財政運営は、[資料6ページの]6番目、1.の財源見通し。おかげさまで市税については、新型コロナウイルス感染症の影響が少なく、堅調な収入が継続できている。
一方で2番目に書いている財政需要見通しであるが、公共施設等のインフラの維持管理の需要が大変高まっている。社会保障に関する費用、これは保育、障害者、高齢者福祉などであるが、これは増加傾向にある。それから、昨年とりわけ物価高騰による固定経費の増額であるとか、防災に対する費用も増えてきているという状況から、総括として挙げているが、今後の財政運営については、ポツ(・)の2番目であるが、市域全体の持続的な発展を促す施策に取組み、地域経済の好循環を構成していくような、そのような分野にしっかりと注力していく必要がある。それから基金残高についても先ほど申し上げたように、130億円弱財政調整基金があるが、今後、この減少を念頭に置きながらの財政運営が必要である。そのためには中長期的な視点、これを踏まえながら、効果的、慎重な財政運用が必要であると認識をしている。
【資料7ページ】
具体的な予算編成に向けた考え方について説明をさせていただく。
まず選ばれるまちの実現に向けた施策の包括的推進ということで2点、先ほど申し上げた「子どもの健やかな成長を支え、仕事と子育ての両立を応援」すること。そしてもう一つが「多様性を踏まえた人口減少地域の総合対策」である。
まず、子ども子育て支援のところで、考え方は[資料]7ページの青色の網掛けをしているところであるが、少子化の進展は現在の社会が持つ課題を集約的にあらわしているとの認識のもと、子育て世代が明るい展望を描き、安心して子どもを産み育てられる社会の実現を目指す。
あわせて、次世代を担う子どもの健やかな成長を育み、生涯にわたって充実した生活を送るための基礎を作るというところにもしっかり支援をしていく。そういう包括性というものが必要ということである。この考え方は、[資料]8ページの参考資料1に掲げているように、昨年、やさしい未来都市会議という有識者に入っていただく会議、あるいは子ども子育て会議。これは学識経験者や、子育てに関わっている方々で構成される会議で、その中のご意見として、ポツ(・)[の]一番上で、子育ての不安が解消され安心できるサポートであること、言うなら、伴走型の支援というものが大変重要である。[参考資料の]2番目のポツ(・)、必要な時に安心して子どもを預ける場があるということである。本市では一応、待機児童の解消がなされたが、年度途中での待機児童がまだ出ているということの中、そのような施策が重要である。
それから3番目が子どもに関わる様々な経済的負担が軽減されること。等々、このようなことが挙げられており、それに基づく施策を考えたところである。
そのような中で、緑色の網掛けをしたところに、当初予算のポイントを掲げているが、最初のポイントは「県内トップクラスの拠点で妊産婦等の不安や心配に切れ目なく寄りそう」ということである。実はこれまでこの分野に、本市は大変注力してきた。[資料8ページの]参考資料2の表であるが、きめ細かなサポートを行う拠点として、子育て世代包括支援センターすくすく。これは言うならば、ネウボラと思っていただければ。それからその隣の地域子育て支援拠点ということで、これは保育園に入る前の乳幼児に対して支援をしていくと、保育士が支援をしていくという仕組みであるが、それがそれぞれ[子育て世代包括支援センターすくすくは]12ヶ所、[地域子育て支援拠点は]26ヶ所ということで、実は県内では、人口当たりで見ても、最大の支援のサポートをとっているところであるが、これを引き続き充実、強化をしていく。
それから、[資料7ページの]2番目の「子育て世帯の医療に関わる経済的負担を軽減」ということで、乳幼児と医療費の支給対象を、入院が18歳、それから通院を15歳まで拡大し、負担を軽減するというものである。これまで、入院は15歳、中学生まで、通院が小学校6年生までであったが、これをそれぞれ拡大し、負担の軽減を図っていく。
3番目が、「積極的な保育士の確保策で年間を通じた保育所等の待機児童を解消」ということである。これまで保育士への給付金の支給をし、保育士の確保に努めてきたところであるが、これを延長していくこと、それから県外から転入してきた方々が、この地に帰って保育をやっていただくということになれば、加算金をしていた。そして今回、さらに奨学金の返済に関して支援をしていくという支援策を講ずる中で、積極的な保育士の確保に努め、先ほど申した様々な保育課題を解決していきたいということである。
4番目、5番目は、質の高い保育、教育を一体的に展開していこうというものである。
【資料9ページ】
実は、子育て支援というものが、決して乳幼児期だけではなくて、学齢期に対してもしっかりした支援が必要である。ステージや年齢等に応じた支援、人的体制を強化するという図を[資料に]つけているが、左のところにある「妊娠期からの切れ目ない支援」、あるいは「質の高い保育教育の推進」、「仕事と子育てを両立できる環境」、「子育てを地域で支える環境」など、様々な分野での支援が必要であると考えている。
そういう中で、資料に黄色で着色している部分が、今回新しく作った施策、あるいは従前の施策を強化するというようなことにしており、このような包括的な支援をする中で、子育て対策、あるいは女性の働き方改革などを進めていきたいと思っている。これらに要する予算は資料の7ページにあるように、全体が19億7,000万円余、昨年が15億6,000万円であったため、約27%の増とした。
【資料11ページ】
「多様性を踏まえた人口減少地域総合対策」である。
現在の本市の人口の偏在状況を、まずご理解いただきたい。
資料[12ページ]の下に折れ線グラフがあるが、本市の人口、これは合併時の平成17年度を起点として増減率で表したものである。全体として令和3年度末、5.7%の人口増となった。現在、令和2年の国勢調査ベースでは19万7,000人弱、住民基本台帳も昨年の9月で19万人越えとなった。全体で5.7%、合併してから増えたということ。それを旧町の状況をご覧いただくと、西条町で33.3%、八本松町で10.6%という増加を示しているが、あとの7つの町については、ここに書いているような数字で減少が進んできた。とりわけ北部の豊栄町の33.5%、それから南の安芸津町の27.9%というのは大きな減少を示している。これももう少し詳細にエリアごとで見る必要があるということで、[12ページの]上にピンクで着色した図があるが、人口減少地域、これは住民自治協議会、言うならば、小学校区[旧小学校区含む]と見ていただければよいが、その中で人口が減っている地域をイメージ化したものである。
これまではほぼ市内一律の施策を推進してきたところであるが、これら着色した部分、とりわけ、北部、南部においては人口の減少が著しく、今後そのコミュニティの維持をどうしていくのかというような課題も出てきつつあるという状況の中で、少しこれらの特徴、特質、課題に対応した施策を固有のものとして打つ、あるいは他の地域に比べると、少しかさ上げをする、充実するという施策を打つ必要があると考えている。
その考え方は令和5年度当初予算のポイント、[資料の]11ページの緑色の網掛けをかけた最初のところをご覧いただきたいが、人口減少地域の総合対策として、生産活動の活性化、所得の向上、消費の拡大の三つの視点で効果的な事業を推進することで、地域内での経済循環を進める。そして住宅や子育て教育等の生活環境の整備や、それぞれの地域の特徴をとらえた事業を進めることで、住みたい、住み続けたいと思えるような地域を作り、活力を維持していこうというものである。
人口が減少している地域というのは、これからの生活、これからの時代において、生活の中でWell-being(幸福度)が実現できる、そのような環境を持った地域である。先ほど申した循環型の地域を作ることによって、これらの地域に外からの人口の移住、定住なども視野に入れながら、関係人口を増やし、そしてそのような取組みに結びつくような、そんな施策を打っていきたいと考えており、予算としては7億1,000万円余、前年の4億9,000万円余と比べて45%の増とした。具体的な中身は13,14ページをご覧いただきたい。
【資料15ページ】
重点施策について。第五次[東広島市]総合計画の5つのまちづくり大綱に掲げる施策を推進する中で、多発する自然災害や新型コロナウイルス感染症の発生と長期化、これに伴う価値観の変容など、社会・経済状況が大きく変化している。このような中においても、第五次東広島市総合計画に掲げる「世界に貢献するイノベーション創造のまち」と「暮らし輝き笑顔あふれる生活価値創造のまち」を目指して、ここに掲げている6つの施策を重点的に取り組む。
この合計は101億5,000万円余で、前年に対して1.3%の増である。
【資料16ページ】
命と暮らしを守る体制の整備として、災害への対応についてすべての市民が安全・安心を感じながら生活できるよう、ハード事業とソフト事業を交えて、多様なアプローチから対策をしていく。また、医療では本市は人口当たりの医師数が少ないという現状を踏まえ、地域医療を担う医師不足の解消に向けた施策を講ずるとともに、高度医療の充実に向けた取組みを推進していきたい。
【資料18ページ】
仕事と生活価値を創造する基盤づくりである。本市の活力を維持するためには、産業を活性化し、市民に質が高い選択可能な仕事を提供する必要がある。このため、市民の起業あるいは中小企業の育成に取り組むとともに、成長産業の誘致や立地企業の投資促進、仕事として選択できる農林水産業の育成、地域資源を生かした観光振興に取り組んでいきたいと考えている。
【資料20ページ】
誰ひとり取り残さない多様性と調和社会の実現である。
本市がイノベーション力を発揮するためには、世界中から豊富な人材を集める必要があると考えている。そのための受け皿として、誰にとっても住みやすい地域社会の実現に向けた施策を講じていく必要があると考えており、また、SDGs未来都市として、誰もが取り残されることがない、多様性と包摂性を持った地域社会を構築していく、そのような施策を整理したものである。
【資料22ページ】
多彩な地域の特徴を生かしたまちづくりである。
市内の大学を中心とした試験研究機関や先端技術産業に備わる高度な研究開発機能、豊富な人材等を有効活用し、イノベーションを創造することによって、本市を牽引する取組みを加速していきたいと考えている。一方で、9つの地域の豊かな自然環境や歴史、文化などの特徴を生かしながら、そこに住む人が誇りを持って快適に暮らせる地域づくりに取り組んでいく。
また、過疎化が大きな社会問題となる中、地域が過疎化の進む中でも活力を維持していくための新しい切り口の施策を考えたところである。
【資料24ページ】
時代を担う子どもを育てる教育・保育の推進である。
新たな時代を担う子どもたちを育成するため、また子育てをする保育者の希望にこたえるため、質の高い教育と保育を推進していく。このため、学校支援センターや未来を担う子供の育ちサポートを運営するとともに、個別最適な学びがGIGAスクール、コミュニティスクールの推進により、さらなる質の高い保育・教育の提供に向けた取組みを進める。
【資料26ページ】
持続可能な次世代環境都市の構築である。
地球規模の環境問題に対応できる持続可能な次世代環境都市の構築を図るため、脱炭素の推進や、豊かな自然環境の保全、循環型社会の構築を図っていく。
【資料27ページ】
生活関連事業の効果的な推進である。
公共施設や学校施設、地域センターなどの活動拠点の整備や維持補修に係る予算だが、市民ニーズを踏まえつつ、確実に実行できる予算として160億円を計上している。
【資料28~32ページ】
地域別計画の着実な推進として、地域ごとの主な事業を掲げている。
【資料33ページ】
施策の根本をなすSDGsの理念とDXの推進ということで、SDGs未来都市の実現、それからDXの推進について取りまとめている。SDGs未来都市の実現については62億9,000万円余ということで、対前年比で2億6,000万円余の増である。
参考として記載しているが、SDGs未来都市の指定を受けて3年になるが、これまで様々な施策を構ずる中で、未来都市に選定されている全国709市区の中で52番目に選ばれたところである。大都市圏や政令市、あるいは中核市が多いが、これを除けば本市が1位となったということで、今後も環境面、経済、社会面の取組みを進めていきたいと考えている。
【資料34ページ】
DXの推進ということで10億5,000万円余ということでほぼ前年並みの予算としている。まちづくりもそれぞれの施策に対して、DXを活用しながら取組を進めている。これも参考のところにあるように、おかげさまでこれを利用する市民も増えてきた。
市民ポータルサイトを運用し、とりわけ子育て世代の方々にご活用いただいているが、登録者数が2万9,000人となった。今後、事業者の皆さんにもこういうポータルを使っていただくということで、今後3月の運用になるが事業者、商工会議所等の方にも使っていただくというような状況になる。
合わせてこのDX推進では大変重要となるマイナンバーであるが、申請率は77%になったところ。
【資料35ページ】
第五次総合計画のまちづくり大綱における主な事業として、先ほど申した30の施策に対してこのような予算化を計上しているということで、トータルで316億円余となったところである。

2 質疑応答

令和5年度 施策と予算(案)の概要

記者)今、地域ごとに発展の差がある、環境の差があるという中で、選ばれるまち、まちに来てもらうための施策としてこの二つの柱、子育て支援と人口減少対策を打ち出したということか。その確認と、そうであればこの二つがちょっと重なるかもしれないが、この二つの施策に込めて、こんなことを今回は目玉にしたいとか、特色にしたいとかその辺りをもう一度説明をお願いしたい。
市長)そもそも令和2年に策定した総合計画において、これは国内外から選ばれる都市を目指している。未来に挑戦する自然豊かな国際学術研究都市として選んでいただこうというもくろみで、現在、推進している。そういう中で昨今の大きな課題として、先ほど申し上げた少子化問題というものが非常に顕在化してきたということ。それと、多彩な地域を持っているという地域というのは、当初から想定していたが、これまでの施策の中では人口流出が止まっていないという現実を見たときに、令和5年度にとりわけ注力するのが、子育て支援、女性活躍、あるいは人口減少地域における歯止め対策をどうするかということで、そこに少しウエイトをかけながら施策を展開していく。今回の特徴というのは、これまでいろんな施策を打ってきたわけだが、単発の施策では必ずしもそういう効果というのが十分期待できない。例えば中山間地域対策もこれまでいろんな施策を打ってきたわけだが、必ずしもそれが成功しているとは言えない。そういう意味からすると、施策の包括化、パッケージ化っていうことを図りながら、その背後にある考え方をしっかり持って、例えば人口減少については、循環型の社会をどう作っていくかというようなことをやっていくが、そういう視点を持ちながら、包括的な施策を推進する中で、その歯止めをかけていきたい。
子育てについても、今、国においても経済的支援というのが大変大きな課題として、今、議論をされている。所得補償とするかということも言われている。もちろんこれも重要だと思うが、我々は本市の現状を踏まえたときに、伴走型支援をさらに強化していくこと、あるいはこれまで本市の誇りであった高い教育力、こういうものをさらに進化していく中で選んでいただけるようなものになるのではないかということで、今回このような予算を作り上げた。
記者)全体的な予算の規模は、944億4,000万円で対前年比0.8%減ではあるが、これは市税がやっぱり堅調にあることが背景に見えるが、[対前年度比で]減ではありながら、必要なところには、積極投資するというスタンスでよいか。
市長)ご指摘の通りである。おかげさまで堅調な市税収入が確保できている。一方で、必ずしもこれがすべて本市の歳入にストレートに結びつくかというと、交付税との関連もあるので、すべてが増ということではないが、そういうことを考えた中で、今ある課題に対し積極的に、例えば箱物もそうだが、学校関係でいくとリニューアルの需要も高まっている。そういうところに対してもしっかり手当をしていこうという結果の中で、あるいは公共事業もそうであり、そういう中でこれだけの規模の予算になっている。
記者)コロナ[関連予算]と災害復旧[関連予算]を除いたら過去最大規模ということで、実質[過去]最大と理解した。
記者)今年はもしかしたら[予算が]1,000億を超えるのではないかという思いもあったが、そういう中で災害[復旧関連予算]とコロナ[関連予算]を除いてもちょっと[対前年度比で]プラスということで、これ意識的にもしかしたら伸び率を抑えているというとらえ方をしてもよいか。というのも、うまく優先順位をつけて、重要度と優先順位の判断で予算を編成されたとのことで、そういったところを意識されたということか。
市長)行政需要からすると、それを全部足し合わせると、今ご指摘のような予算規模になる可能性もあるが、実質的にそれが消化し得るのかどうかという視点がある。それと長期的に見たときに、その施策をすることが将来にわたってボディブローのように効いてくるものも結構ある。だからそういうところは、中長期的な分析もしながら、やるかどうかの判断というのがあった。あるいは、実は生活関連[予算]のところが、少し減っているように皆さんも見られたと思う。昨年度が180億、今年度が160億弱ということで、予算計上しても必ずしも執行できないというケースがここ何年か続いた。実は災害復旧というのは、とにかく1日でも早くという思いの中で、予算をしっかり計上していたが、それが繰り越しあるいは事故繰り越しというような状況もあった。そういうことを踏まえて、現執行体制の中で、できる規模、あるいは、市の建設業界全体として執行しうる規模というのが当然出てきているので、そういうことを念頭に置きおきながら予算編成をした結果、944億4,000万円とご理解いただきたい。
記者)できる範囲の最大の予算ということか。
市長)そのとおりである。
記者)堅調な税収が東広島市にあると思うが、それを支えるのが企業の立地があると思っていて、重点施策の中にもあるが今後の市の産業用地の予定ですとか、課題を教えてほしい。
市長)産業構造自体をバランスのとれた産業構造にする必要があるという前提の中で、今、旺盛な投資があると思われるのは、一つは半導体関連の企業ということで、外資系の半導体を作る企業だけではなく、それに関わる半導体の製造機器や材料など、そういうものも立地する中で、ある意味でいうと、半導体のエコシステムみたいなものが必要になってくると言われている。そのために、吉川工業団地周辺への産業団地というのが一つテーマであり、それともう一つは広島に近接するということで、物流関係の皆様から見たときにインターチェンジ周辺への立地意欲というのは高いものがある。そういうところに対する産業用地の確保についても、来年度予算に検討するような調査費等を計上しながら進めたいと思っている。
記者)来年度決まるわけではないということか。
市長)実は本市の土地利用から見たときに、農業利用を中心としてこれまでやってきて、農業振興の地域がたくさんある。そういうところと土地利用調整を図っていく必要があるため、ただちにということにはならないが、その調整も図りながら、今、新しい法律で未来投資促進法というような法律もあるので、そういう法律に基づいて、ちゃんとした計画を作りながら、産業用地の造成に向けて投資していきたい。
記者)地域別課題への対応ということで、これまでは市内一律の施策ということで振興を図ってきた。これをエリアごと、9つの地域それぞれに特化した施策に舵を切るということでよいか。
市長)その地域課題に応じた施策を作っていく必要があると考えた。まず前提として、それはどういうふうな課題を持つのかということで地域別計画を作り、固有の課題解決に向けた予算をつけた。一方で市内一律の支援策もあるが、そういうものには少し手厚い助成をする中で、施策の誘導を図っていこうと考えている。
記者)それぞれの[地域の]特色に合わせた個別の施策の方に。
市長)その中で包括的にそういう地域が、やはり人口減少という最大の課題を抱えているため、それに向けて、その地域で循環するような経済圏をつくり上げることで、[市の]外からも移住者を迎えることができて、地域が地域のコミュニティを守っていけるのではないかという仮説の中でやっている。この考え方は、中山間地域問題で藻谷浩介さんとか、藤山浩さんとか、いろんな方が分析されて、今、中国地方の中山間地域において人口が増えだしたという地域があるが、そういうとこはそんな施策を講じていると学んだので、それがこういう地域でも適用できないか。それとその背景には、やはりエネルギーであるとかカーボンニュートラルが、ある意味でいうと大きな後押しにも、今の時代なりつつあるのではないかということで、今回この取組みを進めていきたいと思っている。
記者)重点的な対応の一つということで子育て支援、女性の活躍から地域の課題への強化ということか。
市長)そのとおりである。
記者)地域の多様性を踏まえた対策だが、例えば福富では生活価値創造のまちを具現化していく、豊栄町では空き家を利活用するというような、これモデル地区を作ってそれを見ていき、良ければこれを全市の人口が減っている地域に波及させるということか。
市長)モデル地区として設定したわけではないが、おそらくそういう形になっていくと。成功事例があればそれを全市的な水平展開していく、という考え方は持っている。だからそこの課題が何かということをしっかり見極めて、それに対する対応は成功すれば同様なところは展開できると思う。だからモデル地区というふうに設定したわけではないが、この地域においてはこれが課題だというのが、実は抽出できてきたためである。
記者)例えば、空き家を利活用する際に豊栄町のみならず、他の地域にも広げる。今回は豊栄町で見て、それがうまく成功すればそれを他の地域に広げていくということでよいか。
市長)そのとおりである。豊栄で見れば、民間の空き家もさることながら公共施設も従来のニーズと言うか、人口が減ってきたことでそれほどの規模のものがいらなくなっている状況も随所にある。そこを有効活用していくという取組みも一つある。
記者)23ページの中央生涯学習センター跡地活用は1,050万の計上だが、これはこれまでの考えからいうと、もう少し太い予算が出てくると思っていたが、そのあたりをご説明いただきたい。
市長)12月議会での議論を踏まえながら、現在、基本計画について整理の途中である。一定の方向が出つつあるが、少し時間がかかりそうになってきた。この計画ができたら、いずれ議会にも最終報告をし、パブリックコメントもとりながら、次のステージに向かっていくことになる。その段階で今回の当初予算には計上はしてないが、基本設計に進むための予算を計上するということになっており、来年度に入って補正[予算での]対応を考えている。
記者)スケジュールは少し後ろ倒しか。
市長)少し遅れてきた。
記者)内容としてもちょっと大きく転換するための議論ということか。
市長)必ずしも大きな転換でもないが、いろんな設計をする上の条件についての検証を、少し深掘りして今やっているところで、想定より少し時間がかかっている。
記者)生活関連事業の効果的な推進の関連だが、昨年度は止まっていたインフラ整備を加速させるという比較的かなりこの辺りを上積みしていたと思うが、一転、精査してできていないので減額というような感じだが、その辺りの何か改めるべきところと、今回、効果的に執行していくというところ、施策立案も含めてこれは、予算の編成方針でもあったが、その現場とのコミュニケーションや職員との意思疎通などそのあたりがかなり重要と思うがどう考えているか。
市長)実は[平成]30年7月豪雨災害以降ですね、災害復旧、あるいは公共事業、あるいは生活関連の維持補修費みたいなものに全力投球をしながら、できるだけ災害復旧を早期に完成したいと。もともとは3年復旧ということで目標にしてきたわけだが、それが予算上はそういうことで計上はしてきたが、結果的に繰り越し、繰り越しという状況がずっと続いてきた。その間に、東広島市内における建設業界の、市の事業に対するキャパシティーというのがだんだん見えてきた。従って、できるだけ市内業者の皆さんにこういう事業をやっていただきたいという思いもあるため、そういう意味からそこをある程度意識しながら、それと市民の皆さんのニーズ、とりわけ安全安心に係るものは、これは速やかにやっていく。そういうことを踏まえた中で、おそらくこの規模であれば、もちろんこれに繰り越しもある。
担当課)資料は現年度予算のみである。
市長)それに繰り越しがある。繰越予算も含めて、消化ができうるだろうということで、実はこれも、かなり頑張ってやらないといけないという数字。ただ、できるだけ繰り越しを出さないような予算設定はしている。
記者)今回予算の中で、子育て支援のところを大きくしたと思ったが、加速している少子化問題に対しての受け止めと、施策や今後中長期的に見て、どういった社会づくりに生かしていきたいか。
市長)少子化問題は国も言っているように待ったなしの問題で、本当に抜本的に解決していく必要がある時代。もうおそらく少子化対策を30年ぐらいやって、これもなかなか効果が上がってないというところがある。ですから、今政府で異次元の子育て対策ということでやられている中で、児童手当というものが大きな課題になっているが、それだけではなくて、いろんな分野で支援の枠組みが必要だということで、わが市としてはパッケージ化した。これを考えるときに、国がどこまでやるのか、あるいは県がどこまでやるか、市としてどこまでやるかということは実は議論がいると思っている。例えば、乳幼児医療の問題があるが、本市はずっとこれは県や国に対して、一律の制度にしていただきたいという要望を続けている。残念ながら県下はバラバラで、国もバラバラである。ここをやはりどういう考え方で、例えばこれ所得制限の撤廃問題も入ってくると思うが、その問題も含めてきちっと制度設計を、国にしていただきたい。これはもうやはり高齢者福祉、あるいは児童福祉、福祉全体の中でどうなのか。あるいは所得対策としてどういうふうな支援が必要なのか。これも政府の話があると思っている。
だから、実はこの子育て対策というのは極めて多岐に渡り、国がそこをしっかりとした枠組みを作り、市の役割としてどこまでやっていったらいいのか、という議論ができるようなことを期待している。そういう中で我々とすると現段階で考えうるものを網羅的に、今回は施策として作ったというつもりである。
記者)その中の一つが、保育士への支援で担い手確保ということか。
市長)そのとおりである。保育における様々な課題解決のため、まずは保育士の確保をしないと、どんなこともできない。例えばわが市はよく2人目のお子さんの保育について、お母さんが育児休暇を取ると保育所に入れないという状況がある。これについて、市民の皆さんから早く改善して欲しいという要望がある。やっぱりそういうことの解決のためにも保育士の確保というのは大前提となってくるわけで、わが市ができなかったのは保育[士]の数が足りないためということで、これはある意味でいうと、わが市の子育てにおける一丁目一番地と言ってもいいぐらいの課題ということで、ここに力を入れたい。
記者)待機児童が年度の途中で発生するのはなぜか。
市長)まず、4月段階では実は国の言う待機児童はゼロになる。その4月以降で、お子さんが生まれて、保育需要が出てくる。あるいは年齢がその段階に達する、4月以降に、そういう人が入りたいときに、実は入れない状況があり、年度途中のピークが33人ぐらい、昨年度も発生している。これを何とか解消したいというのが一つ。
記者)大学生が卒業した後に、東広島に住み続ける。人的財産の活用になるかもしれないが、その受け皿づくりということで、卒業した後の東広島市の引き継ぎ住み続ける受け皿づくりといったものは考えているか。
市長)一つは、そういう大学生が就職したいような企業誘致を、あるいは留置を引き続きやっていくことが必要である。現状において、大学生のうちのざっと3%ぐらいが、本市で就職をしてくれる状況だがこれをどうやって増やすかというのは、これまでもずっと課題だった。
そういう意味で言うと、その企業誘致もさることながら、まだ市において起業してくれるような学生をどう支援していくか。起業の支援をこれまでいろいろやってきた。例えば、ミライノ+もそういうことで作り、Hi-Bizの支援もそういう方々への支援というのも一部頭にある。大学の中でも、起業家に向けた学生を育てるという取組みも始めており、
そういう中で、できるだけ多くの学生に留まっていただきたいと思っている。
それともう一つは、卒業して、直ちにこの町で定住してもらわなくても、将来、この町に帰ってもらえる可能性というものを求めて、地域との学生との交流を促進するであるとか、そういう取組みも進めている。残念ながら、広島県の人口移動で首都圏への流出というのも、実は学生の就職によって首都圏に行くという結果があの数字に、大きく影響している。
従って、その歯止めというのはなかなかちょっと難しいが関連人口として、しっかり関わりを持ちながら、将来に向けて帰ってもらえるということもあり得るので、そのような施策もしっかりと引き続き打っていきたい。

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