○東広島市内部公益通報に関する要綱
令和5年3月31日
訓令・議会訓令・教育委員会訓令・消防局訓令・選挙管理委員会訓令・監査委員訓令・農業委員会訓令第15号
(目的)
第1条 この訓令は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)の規定に基づき、職員等又は委託先事業者の役職員等からの公益通報を適切に処理するために必要な事項を定めることにより、公益通報者及び公益通報に係る調査に協力した者を保護するとともに、本市における法令の規定の遵守を図り、もって市政に対する市民の信頼を確保することを目的とする。
(1) 職員等 次のいずれかに該当する者をいう。
ア 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する市の職員
イ 地方公務員法第3条第3項第3号に規定する特別職に属する市の職員
(2) 委託先事業者の役職員等 次のいずれかに該当する者をいう。
ア 市と請負契約その他の契約を締結している事業者(法人その他の団体及び事業を行う個人をいう。以下同じ。)又は地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者(以下「指定管理者」という。)の役員(法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法令(法律及び法律に基づく命令(告示を含む。)、条例、規則、規程等をいう。以下同じ。)の規定に基づき法人の経営に従事している者(会計監査人を除く。)をいう。以下同じ。)
ウ 内部公益通報をした日前1年以内にイに規定する労働者又は派遣労働者であった者
(3) 通報対象事実 法第2条第3項に規定する通報対象事実をいう。
(4) 内部公益通報 職員等又は委託先事業者の役職員等が、通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を市に通報することをいう。ただし、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的で行われる通報(次号において「違法通報」という。)を除く。
(5) 通報等 内部公益通報及び相談(内部公益通報に先立ち、当該内部公益通報に関し必要な助言を受けることをいう。)をいう。ただし、違法通報及び前号ただし書に規定する目的で行われる相談(以下「違法通報等」という。)を除く。
(6) 通報者等 内部公益通報者(内部公益通報をした職員等又は委託先事業者の役職員等をいう。以下同じ。)又は相談をした者をいう。
(7) 通報者等を特定させる事項 通報等に対応する業務(当該業務に付随する業務を含む。以下「通報等対応業務」という。)に関して知り得た事項であって通報者等を特定させる可能性があるものをいう。
(通報等への対応に係る業務体制の整備)
第3条 通報等に対応する仕組みを整備し、及び運用するため通報等対応責任者を置き、総務部長をもって充てる。
2 法第11条第1項の規定により定める公益通報対応業務従事者(以下この条において「公益通報対応業務従事者」という。)は、次に掲げる者とする。
(1) 公益通報委員会(第11条に規定する公益通報委員会をいう。)の委員長及び委員
(2) 通報等対応責任者
(3) 通報等対応責任者が必要に応じて次に掲げる者のうちから指定するもの
ア 職員課長(総務部職員課(以下「職員課」という。)の課長をいう。以下同じ。)
ウ 公益通報相談員
エ 調査担当者(第17条第2項に規定する調査担当者をいう。)
3 公益通報対応業務従事者(公益通報対応業務従事者であった者を含む。以下この項において同じ。)は、通報者等を特定させる事項その他通報等に係る業務を通じて知り得た事項を漏らし、又は目的外に利用してはならない。ただし、法令に基づき当該事項の開示を請求された場合、当該事項を当該公益通報対応業務従事者以外の者に共有することをあらかじめ書面により通報者等本人の同意を得た場合その他の正当な理由があるときはその限りでない。
(通報窓口の設置)
第4条 通報窓口(通報者等が通報等を行う窓口をいう。以下同じ。)を職員課に設置し、通報等対応責任者がこれを統括する。
2 通報窓口は、次に掲げる事務を所掌する。
(1) 通報等の受付に関すること。
(2) 通報対象事実に係る事務を所掌する部署(第17条第2項において「担当部署」という。)との連絡調整に関すること。
(3) 相談に関すること。
(公益通報相談員)
第5条 職員等又は委託先事業者の役職員等からの内部公益通報の受付又は内部公益通報に係る相談業務を行うため、公益通報相談員を置く。
2 公益通報相談員は、市の顧問弁護士をもって充てる。
3 公益通報相談員は、内部公益通報を受け付けた場合、相談を受けた場合その他内部公益通報に係る情報を得た場合は、速やかに職員課長に報告するものとする。
(内部公益通報)
第6条 職員等及び委託先事業者の役職員等は、職務上の行為又は市の行政運営に関し、通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料するときは、内部公益通報書(別記様式第1号)その他の書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。以下同じ。)の提出(郵便又は信書便による提出、電子メールその他の電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。以下同じ。)による提出を含む。)、電話又は面談により、内部公益通報をすることができる。
2 職員等及び委託先事業者の役職員等は、匿名で通報等をすることができる。
(通報者等の責務)
第7条 内部公益通報をしようとする職員等及び委託先事業者の役職員等は、客観的かつ具体的な根拠に基づき、次に掲げる事項を明らかにして誠実に通報を行うとともに、個人若しくは団体の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めなければならない。
(1) 発生日時
(2) 発生場所
(3) 通報対象事実の具体的な内容
(4) 通報対象事実を裏付ける証拠及び当該証拠の具体的な内容
(5) 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由
2 職員等及び委託先事業者の役職員等は、違法通報等をしてはならない。
3 通報者等は、自らが通報等をしたことに関する情報が拡散されることにより自らが不利益な取扱いを受ける可能性が高いことに鑑み、当該情報の管理に留意するものとする。
(違法通報者の処分等)
第8条 任命権者(地方公務員法第6条第1項に規定する任命権者をいう。以下同じ。)は、必要があると認めるときは、違法通報等をした者に対し、懲戒処分その他適切な措置(以下「処分等」という。)を講ずるものとする。
2 市長以外の任命権者は、違法通報等をした者に対する処分等をしたときは、直ちに市長に報告しなければならない。
(内部公益通報の受付)
第9条 内部公益通報を受け付けるときは、内部公益通報者の氏名及び連絡先並びに内部公益通報の内容となる事実を把握するとともに、内部公益通報者に対する不利益な取扱いのない旨及び内部公益通報者の秘密は保持される旨を当該内部公益通報者に説明するものとする。
2 内部公益通報を受け付けるときは、個室で面談を行うことその他の方法により内部公益通報者の秘密の保持に配慮するとともに、内部公益通報の内容の趣旨の確認に努めるものとする。ただし、当該内部公益通報の内容が、個人の正当な利益若しくは公共の利益を害するおそれがあるもの又は私的な理由若しくは不正な意図によるものと認められる場合は、これを受け付けない。
3 職員課長は、内部公益通報を受け付けたとき(通報窓口を経て受け付けた場合を含む。)は、速やかにその概要及び当該内部公益通報に係る受理又は不受理の判断を、内部公益通報報告書(別記様式第2号)により、総務部長を経て市長に報告しなければならない。
4 通報窓口担当者は、内部公益通報がされた事実を確認した場合であって、内部公益通報者が内部公益通報の受付の状況を確認することができないと認められるときは、遅滞なく、内部公益通報者に、当該内部公益通報を受け付けた旨を通知するよう努めるものとする。ただし、当該通知をしないことについて正当な理由がある場合は、その限りでない。
(公益通報委員会の設置)
第11条 内部公益通報に係る事案(以下「対象事案」という。)を適切に処理するため、東広島市公益通報委員会(以下「公益通報委員会」という。)を設置する。
(公益通報委員会の所掌事務)
第12条 公益通報委員会は、内部公益通報の調査及び報告に関する事務を所掌する。
(公益通報委員会の組織)
第13条 公益通報委員会は、委員長及び委員3人をもって組織する。
2 委員長は、市長の職務代理者に関する規則(昭和56年東広島市規則第23号。次項において「規則」という。)第2条第1号に規定する副市長をもって充てる。
3 委員は、規則第2条第2号に規定する副市長、教育長及び総務部長をもって充てる。
(公益通報委員会の委員長の職務)
第14条 委員長は、公益通報委員会を代表し、会務を総理する。
2 委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、委員長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。
(公益通報委員会の会議)
第15条 公益通報委員会の会議(次項において「会議」という。)は、市長の要請に応じて委員長が招集し、委員長が議長となる。
2 委員は、自らに関する対象事案については、会議に出席することができない。
3 公益通報委員会は、必要があると認めるときは、内部公益通報者その他の関係者から事情を聴くことができる。
(公益通報委員会の庶務)
第16条 公益通報委員会の庶務は、職員課において処理する。
(調査の実施)
第17条 公益通報委員会は、対象事案の調査を統括し、次に掲げる理由がある場合を除き、直ちに必要な調査を実施するものとする。
(1) 対象事案が、他の内部公益通報によって調査が実施されているもの又は実施されたものと同様のものであること。
(2) 対象事案が、他の内部公益通報によって必要な是正措置及び再発防止策その他の措置(以下「是正措置等」という。)が講じられているものであること。
(3) 内部公益通報者と連絡を取ることができないことその他の理由により通報対象事実に係る調査に必要な事項を確認することができないこと。
(4) 前3号に掲げるもののほか、正当な理由として公益通報委員会が認めるもの
2 公益通報委員会は、前項に規定する調査を、担当部署を所管する部局長、担当部署の長、職員課の職員その他委員長が適切な調査を実施することができる者として指名する職員(以下「調査担当者」という。)に行わせることができるものとする。
3 調査担当者は、第1項に規定する調査を行うときは、他の職員等又は他の委託先事業者の役職員等に内部公益通報者が特定されないよう十分に配慮しつつ、必要かつ相当と認められる方法により行うものとする。
4 調査担当者は、調査が終了したときは、調査結果を内部公益通報調査報告書(別記様式第5号)により、公益通報委員会に報告しなければならない。この場合において、当該調査結果の内容を証する資料があるときは、当該調査報告書に添付するものとする。
(是正措置等)
第19条 任命権者は、公益通報委員会の審議の結果、通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていることが明らかになったときは、速やかに是正措置等を講ずるとともに、必要があると認めるときは、関係者の処分等をするものとする。
2 市長以外の任命権者は、是正措置等を講じたとき、及び関係者の処分等をしたときは、直ちに市長に報告しなければならない。
3 市長は、是正措置等を講じたときは、その内容について、適切な法令執行の確保並びに利害関係人の秘密、信用、名誉、私生活についての秘密等に配慮しつつ、内部公益通報者に対し、調査結果及び措置通知書により、遅滞なく通知するものとする。ただし、内部公益通報者が匿名である場合、当該内部公益通報者が通知を希望しない場合その他正当な理由があるときは、この限りでない。
(是正措置等に係る実効性の確保)
第20条 任命権者は、対象事案に係る事務が終了した後、是正措置等が十分に機能していることを適切な時期に確認し、必要があると認めるときは、新たな是正措置等を講ずるよう努めなければならない。
(通報者等の保護)
第21条 任命権者は、通報者等に対し、通報等をしたことを理由として、懲戒処分その他不利益な取扱いをしてはならない。
2 任命権者は、通報者等に対し通報等をしたことを理由として不利益な取扱いをした者があれば、この者に対し、処分等をしなければならない。この場合において、正当な理由がなく、通報者等を特定させる事項その他の通報等に関する秘密を漏らした者についても、同様とする。
(通報者等への事後措置)
第22条 任命権者は、通報者等について通報等をしたことを理由とした不利益な取扱いがされていないかを適宜確認することその他の方法により、通報者等の保護に係る適切な措置を講じなければならない。
(記録等の管理)
第23条 任命権者は、通報等に係る記録及び関係資料について、通報者等の秘密の保持に配慮して、対象事案に係る事務が終了した日の属する年度の翌年度の4月1日から起算して10年間保存するものとする。
(職員等及び委託先事業者の役職員等への周知)
第24条 市長は、通報窓口、内部公益通報の処理の仕組みその他必要な事項について、職員等及び委託先事業者の役職員等に対し、周知するものとする。
(協力義務)
第25条 職員等及び委託先事業者の役職員等は、正当な理由がある場合を除き、内部公益通報に関する調査、当該調査に必要な聴取等(以下この条において「調査等」という。)に誠実に協力しなければならない。
2 職員等及び委託先事業者の役職員等は、調査等を受ける場合には、虚偽を述べてはならない。
3 任命権者並びに職員等及び委託先事業者の役職員等は、対象事案の処理に関し、他の行政機関その他の公の機関から調査等の協力を求められたときは、正当な理由がある場合を除き、必要な協力をしなければならない。
(情報を共有する者の範囲)
第26条 通報者等を特定させる事項を共有することができる職員は、次に掲げる職員とする。ただし、法令に基づき当該事項の開示を請求された場合、当該通報者等からあらかじめ書面により当該職員以外の職員に通報者等を特定させる事項を共有することについて同意を得ている場合その他の正当な理由がある場合は、その限りでない。
(1) 通報等対応責任者
(2) 職員課長
(3) 通報窓口担当者
2 通報等に関する通報者等を特定させる事項以外の情報を共有することができる職員は、次に掲げる職員とする。
(1) 通報窓口担当者
(2) 調査担当者
(3) 是正措置等担当者(対象事案に関する是正措置等を検討し、又は実施する職員をいう。第28条第3項において同じ。)
3 対象事案に関する調査により得た情報(調査協力者(当該対象事案に関する調査に協力した者をいう。次条において同じ。)を特定させる可能性があるものを含む。)は、調査担当者に限り共有するものとする。
(調査協力者の留意事項)
第27条 調査協力者は、自らが調査に協力したことその他調査に関する情報が拡散されることにより自ら及び内部公益通報者が不利益な取扱いを受ける可能性が高いことに鑑み、当該情報の管理に留意するものとする。
(利益相反関係の排除)
第28条 職員等は、自らが次の各号のいずれかに該当する者であるときは、通報等対応業務に従事し、又は公益通報委員会の委員の職に就いてはならない。
(1) 通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていることが明らかになること又は当該通報対象事実に関する調査が実施されることにより不利益が生じるおそれがある者
(2) 通報者等又は内部公益通報をされた者と親族関係にある者
(3) 前2号に掲げるもののほか、対象事案に関する公正な調査の実施又は是正措置等の検討若しくは実施に支障を生じさせるおそれがある者
2 通報窓口担当者は、通報等を受け付けた場合であって自らが前項各号のいずれかに該当するときは、当該通報等に関する当該通報等の受付を他の通報窓口担当者に引き継ぐものとする。
3 調査担当者及び是正措置等担当者は、対象事案に関する調査又は是正措置等の検討若しくは実施に着手する前に、自らが第1項各号に掲げる者に該当するかどうかを確認し、当該者に該当する場合には、通報等対応責任者に報告しなければならない。
4 前項の規定による報告を受けた通報等対応責任者は、当該報告をした者を通報等対応業務に従事させてはならない。
5 通報等責任者は、通報等対応業務の各段階において、当該通報等対応業務に従事する者と内部公益通報をされた者との利益が相反する状況にないことを確認することとする。
(通報者等の特定の禁止)
第29条 職員等及び委託先事業者の役職員等は、通報者等を特定しようとしてはならない。
(内部公益通報以外の通報及び相談の取扱い)
第30条 通報窓口は、内部公益通報以外の通報又は当該通報に係る相談を受けた場合であって、当該通報の内容が法令遵守の観点から内部公益通報及び当該内部公益通報に係る相談に準じた取扱いをすべきものであると判断したときは、当該通報又は相談を、内部公益通報に準じて適切に処理しなければならない。
(委任)
第31条 この訓令に定めるもののほか、内部公益通報の処理に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
1 この訓令は、令和5年4月1日から施行する。
2 東広島市職員表彰規程等を廃止する訓令(令和5年東広島市・東広島市議会・東広島市教育委員会・東広島市消防局・東広島市水道事業・東広島市選挙管理委員会・東広島市監査委員・東広島市農業委員会訓令第1号)による廃止前の東広島市内部公益通報に関する要綱(以下「旧訓令」という。)第9条第3項の規定により受け付けられた内部公益通報(旧訓令第2条第4号に掲げる内部公益通報をいう。以下同じ。)(この訓令の施行の日において既に旧訓令第10条の規定により受理しないことを決定されているものを除く。)は、第9条第3項の規定により受け付けられたものとみなす。
3 旧訓令第30条の規定により内部公益通報に準じた取扱いをすべきものであると判断した同条の内部公益通報以外の通報又は当該通報に係る相談については、内部公益通報に準じて適切に処理しなければならない。