令和6年度 施政方針

更新日:2024年02月09日

令和6年第1回東広島市議会定例会 市長開会挨拶

   令和6年第1回東広島市議会定例会の開会にあたり、「市政運営に関する私の所信」並びに「令和6年度 施策と予算の概要」 及び 「重点施策」について ご説明申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご支援を賜りたいと存じます。

   まず、元日に発生いたしました能登半島地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、ご遺族・関係者の皆様に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、甚大なる被害を受けられ、厳しい状況にある被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

   今後の復旧・復興に向けての一助となるべく、本市も様々な形で支援を行ってまいりたいと考えております。

   また、この度、瀬野川や その源流となる水路などから人の健康に影響があるとされる有機フッ素化合物が検出され、当該地域とその下流の住民の皆様に大変な不安が生じております。

   市といたしましては、まず市民の健康を第一と考え、井戸水の飲用を控える呼びかけを行うとともに、飲料水を配布しているところでございます。

   併せて、汚染源と 汚染範囲の特定に向け、公共用水域と地下水の調査を継続して実施していくほか、昨日には、私自身が防衛省中国四国防衛局に出向き、検出場所の上流域に位置する川上弾薬庫における関連物質の使用実績の有無や施設内の水質調査の実施などについて要望書の提出を行ったところでございます。

   今後とも、市民の皆様の不安の解消に向けて、国や県とも連携しつつ、万全の体制で取り組んでまいります。

   さて、昨年を振り返りますと、令和2年春より猛威を振るってきた新型コロナウイルス感染症も、感染症法上の分類が5類に引き下げられ、社会経済活動もコロナ禍以前に戻りつつある中、酒まつりも4年ぶりに通常開催となり、市内外から約20万人の方にお越しいただくなど、賑わいが戻ってきた変化の年でもありました。

   一方で、世界情勢の緊張に伴う原油高や円安等の影響による物価高騰は、私たちの日常生活において大きな負担をもたらすものとなり、こうした厳しい状況に対して本市は、市民の皆様の暮らしを守るため、家計急変への生活安定支援や物価高騰に対する事業活動支援などの対策にスピード感を持って取り組みました。

   また、変化の流れは地域社会にも起きており、人口減少や 多様化・複雑化するニーズに応えるための新たな制度設計や 地域の仕組みを作り上げていくことが喫緊の課題となってまいりました。

   この様な中、昨年12月に政府が策定した「こども未来戦略」では、人口減少を加速化させている少子化に対し、最大の危機感をもって取り組む姿勢が示されました。

   この戦略では、若い世代のだれもが将来に明るい希望が持てる社会をつくるため、若者、子育て世帯の所得増加や 社会全体の構造、意識を変えるなどの取組みにより、個人の幸福追求を支援し、人口減少・少子化に歯止めをかけようとするものでございます。

   こうした方向性は、まちを活性化し、地域ごとに個性を生かしつつ新たな価値を生み出し、地域内経済循環や関係人口の創出による持続可能な地域社会を実現することで、市民のお一人おひとりが幸福感いわゆる「Well—being」を感じることのできる都市へと成長することを目指す本市の指針と同じ理念を持つものと捉えております。

   今年は昭和49年の市制施行から、50年の節目の年となります。東広島市は、「賀茂学園都市建設」、「広島中央テクノポリス建設」の2大プロジェクトの推進による広島大学の統合移転などの学術研究機能の集積や、成長性のある企業の立地等産業基盤の整備、高速・広域交通ネットワークなどの都市基盤の充実を背景とし、全国からも注目を集める成長都市として、飛躍的な発展を遂げてまいりました。

   これまでの本市の発展に ご尽力頂いた多くの関係者に改めて感謝を申し上げたいと思います。

   この50年の節目に生きる私達は、これまでの先人たちが築き上げた基盤の上に、これから先の新たな50年の未来に向けて、本市を次のステージへと推し進めていく重要な役割を担っていると認識しております。

   次に、本市を取り巻く国内外の諸情勢について申し上げます。

   まず世界情勢においては、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエル・パレスチナ情勢など、依然として世界各地で予断を許さない不安定な状況が続いております。

   一方、経済では、コロナ後の需要の回復や世界的インフレへの金融政策も一定の落ち着きを見せるとの見通しがなされております。

   国内に目を向けますと、1月に政府が発表した月例経済報告では、「景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している」とされており、先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されております。ただし、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動などの影響に十分注意する必要がある、とされております。

   こうした中で、賃上げ水準は、過去30年で最も高い水準となっているものの、急激な物価上昇に対応するまでの賃上げとはなっておらず、今しばらくは、生活者への家計支援などの対策が必要と考えております。

   一方で、国全体の設備投資は過去最大規模の名目100兆円を実現する見込みであるなど、デフレ経済からの脱却に向けて明るい兆しも見えてきております。

   この様な環境の中、昨年開催されたG7広島サミットを契機とし、半導体人材育成のための日米11大学のネットワーク構築、マイクロンメモリジャパンによる最大5,000億円の広島工場への投資、それに対する国からの最大1,920億円の助成など、国内の半導体産業に対し、国は前例のない支援を行う姿勢を示しております。

   これらの動きは、民間企業の積極的な投資に対するインフラ整備などを提案してきた 県や市の連携した取組みに国が呼応したものであり、本市のこれからの成長を後押しする大きな追い風となるものと考えております。

   また、昨年3月には、本市の長年の願いであった国道2号東広島・安芸バイパスの全線開通により広島都市圏への道路交通網が整うなど、更なる都市機能の充実が図られたことや、昨年12月に発表された2021年の製造品出荷額等が1兆円台に回復するなどの嬉しい動きもございました。

   さらにTown&Gownの取組みでは、行政のもつ知識やデータと民間のノウハウ、大学の知見や研究力の融合により、暮らしをより豊かにする新しい技術の実装とそれを支える人材育成を行い、「持続可能なまちづくり」と「地域課題の解決」を目指す取組みを 更に推し進めることができたと考えております。

   こうした状況の中で、日本の人口の推移につきましては、依然として東京圏への一極集中が続いており、地域別将来人口推計によれば、将来的な人口減少は、大変厳しい見通しとなっております。

   広島県も令和2年の国勢調査では、人口が280万人を下回り、今後も同様に減少していくものとされております。

   一方で、本市の将来人口推計は、前回より若干多い推計値となっており、昨年12月末時点での外国人人口も過去最高を記録するなど、人口増加の基調がしばらく継続するものと考えております。

   これは、これまでのまちづくりへの評価が結果として現れたものの一つであると認識しております。

   次に、まちづくりにおける基本的な認識について申し上げます。

   令和2年に策定した「第五次東広島市総合計画」では、持続可能な社会の形成と 科学技術の進展を見据え、将来都市像を「未来に挑戦する自然豊かな国際学術研究都市」といたしました。そして、その実現に向けて「世界に貢献するイノベーション創造のまち」と「暮らし輝き笑顔あふれる生活価値創造のまち」という2つの目指す方向性をお示しし、国内外から選ばれる都市を目指しているところでございます。

   この方向性のうち、「世界に貢献するイノベーション創造のまち」においては、Town & Gownの取り組みや 半導体分野での投資拡大や研究開発、人材育成など新たな動きが生まれてきております。

   また、「暮らし輝き笑顔あふれる生活価値創造のまち」においては、自然環境などの豊かな資源を生かしながら官民が連携した新たな生活価値を創造する「生活デザイン・工学研究所」の設立等、市のビジョンに民間事業者が関心を示されるなど当初の想定を超えた動きも生まれております。

   こうした新たな動きは、前期基本計画による取組みの成果と捉え、今後もさらに魅力あるまちづくりを推進し、本市の活力を創出してまいります。

   また、本市の目指すまちづくりを推進していく土台としては、「命と暮らしを守る体制の整備」を始めとする6つの施策に重点的に取組むとともに、本市が直面する課題を解決するため、「人口減少地域総合対策」「こどもの健やかな成長のための環境づくり」「地域共生社会の実現」という3つの施策を包括的に推進してまいります。

   このうち「多様性を踏まえた人口減少地域総合対策」として、「地域特性を活かしたまちづくり」、「地域内経済循環の拡大」、「人口の流出抑制、流入促進」の3つの視点を念頭に、市民活動支援や産業支援、生活環境の整備、教育の充実などの施策を総動員することにより、「住みたい、住み続けたい」と思える地域の活力の維持に取り組んでまいります。

   また、「こどもの健やかな成長のための環境づくり」として、支援を必要とする子どもを取り残さない、包括的な体制の構築に取り組むとともに、子育て世帯への医療費支援を拡充するなど経済的負担の軽減を図ることで、妊娠期から青年期までの切れ目のない支援の一層の充実を図り、希望する誰もが子どもを持ち、安心して子育てができる環境づくりに努めてまいります。

   これらに加えて、新たに「地域共生社会の実現」として、地域住民や地域の多様な主体が「支え手」「受け手」という関係を超えて、学び合い、支え合い、感謝し合える「シアエル関係」を築くため、かつて地域社会にあった信頼関係やお互い様の精神、人と人のネットワークなどのソーシャルキャピタルを再構築し、市民のお一人おひとりWell-beingを実感できるような社会を目指してまいります。

   本年は市制施行50周年であると同時に、新たな50年の未来へ向けた、スタートの年でもあります。

   昨年の海外視察では、東広島が更なる成長に向け高いポテンシャルを有する都市であるということを再認識することができました。

  視察した米国では、成長を続ける先進都市である、ポートランド市、ボイシ市、テンピ市を含むフェニックス都市圏域は「豊かな自然環境」「大学という知的研究資源」「国際的企業の立地」という本市との類似点を有し、現在進めているTown&Gownのモデルであるアリゾナ州立大学とテンピ市の「アカデミックエンタープライズ」の取り組みは、都市の成長に大学の大きな関与があり、目を見張るものがありました。

   さらに本市は政府が進める4つの半導体製造拠点の一つに位置づけられ、今後更なる投資が期待されるとともに、関連産業の集積を図っていく必要も高まっております。

   現在、このような追い風を確実に捉えるため、更なる成長に向けたまちづくりの方向を示す次世代学園都市構想を更にバージョンアップするとともに、スピード感をもって都市の成長戦略を明確に示す総合計画や、それに基づく都市計画マスタープランを見直していく必要があります。

   また、半導体企業等の更なる投資を誘発するため「市主体の公的産業団地の整備」「広島県による産業用地開発への強力な働きかけ」「民間産業団地開発に係る支援」などの市、県、民間事業者による三位一体で成長産業の受け皿を整備し、本市を成長の次のステージに推し進めてまいりたいと考えております。

   これまでの50年の取組みを重視しつつ、新しい変化も取り入れ、多様化する課題の解決と、先駆的な取組みに果敢に挑んでいかなければならない今、渋沢栄一が言う「幸福を求むる者は夢なかるべからず」という言葉は胸に迫るものがあります。

   夢をもって、新たな50年の未来へ向けた一歩を歩みだし、市民の皆様と共に、更なるまちの成長と発展に取り組んでまいりたいと考えております。

   議員各位をはじめ、市民の皆様のご支援とご協力を賜りますよう、改めてお願い申し上げる次第でございます。

   こうしたことを踏まえ、令和6年度は、次世代学園都市の構築に向け、Town&Gown構想の推進と新たな産業団地の整備に着手してまいります。

   また、市民の皆様の暮らしやすさの向上を図るため、介護保険料の引き下げや、国民健康保険におけるがん検診の無料化、乳幼児等 医療費助成の拡充を行います。

   これらの取り組みを含め、すべての市民が「Well-being」幸福感を感じられる「やさしい未来都市東広島」の実現に向けた施策を展開することとしており、先に述べました3つの施策パッケージ、「人口減少地域総合対策」「こどもの健やかな成長のための環境づくり」「地域共生社会の実現」について、組織や施策を横断する取組みを推進し、相乗効果を図ってまいります。

   このほか、引き続き市内の9つの地域それぞれの資源を活かしたまちづくりを進めるため、地域別計画に基づく各施策を推進することにより、活力の湧き出る地域づくりを進めてまいります。

   予算案の規模につきましては、一般会計の予算総額は986億3千万円でございます。

   国庫支出金や財源措置のある地方債など、有利な財源を最大限活用することで、昨年度に比べて一般財源は減少しておりますが、当初予算としては、過去最大の予算規模で編成したところであります。

   この予算案を一言で表すなら、『2050年に向けて、次世代学園都市元年!』予算でございます。

   予算案に関しましては、第五次東広島市総合計画に沿って編成しておりますが、「やさしい未来都市会議」等の提言も踏まえ、次の6つを重点施策と位置付けておりますことから、これに沿って主なものの概要を御説明いたします。

   まず、「命と暮らしを守る体制の整備」についてでございます。

   災害死ゼロを目指す防災対策において、ハード対策とソフト対策を効果的に行うことで、全ての市民の皆様が安心して日々の生活を送ることができるよう取り組んでまいります。

   ハード対策においては、近年の気候変動などに起因した災害の激甚化を踏まえ、浸水被害リスクの高い河川を中心とした流域治水対策や高潮対策、雨水排水施設整備などの内水浸水対策を計画的に推進し安全・安心を確保してまいります。

   ソフト対策においては、自助機能の強化を図ることとしており、本年元日に発生した能登半島地震での実例を踏まえ、新たに防災への自助努力を促すための防災用品購入支援を行うほか、女性やこども向けの防災講座を実施してまいります。

   また、互助機能においても、地域防災リーダーの育成強化などを行い、自助・互助・公助全体による地域防災力の底上げ、強化に努めてまいります。

   このほか、消防救急救助体制においては、消防庁舎の計画的な改修や車両更新、消防水利の整備などを行い、安全安心の確保のための体制構築を図ってまいります。

   医療体制、救急医療の強化については、東広島医療センターの産科周産期医療体制の強化を通じて廃業の続く産科医院を補完するとともに、医師不足の解消や高次救急事案への対応力を強化してまいります。

   また、休日診療所の電子カルテ等のシステム化による初期医療体制の充実を図るとともに、引き続き、二次救急医療機関の医師確保を支援し、本市の医療体制の維持・強化につなげてまいります。

   次に、「仕事と生活価値を創造する基盤づくり」でございます。

   本市が、これまでの成長力を維持するだけではなく、更なる飛躍を遂げていくためには、本市発展の好循環の起点となる人口の増加とそれを支える産業基盤の充実強化が不可欠です。

   また、仕事づくりにおいても、新たな起業家や中小企業の育成、成長産業の誘致はもちろん、立地企業のさらなる投資促進も必要となっています。

   そのため、成長産業の集積と新たな企業の立地や投資を促進するため、市が主体となり公的産業団地の整備を前提とした開発候補地の絞り込みを行い、産業用地を確保するための基本設計を行ってまいります。

   合わせて、広島県と連携した産業団地の整備促進や、民間開発事業者に対する新たな支援策の創設などによって市、県、民間が三位一体となって積極的に取り組んでまいります。

   さらに、本市の基幹産業である半導体関連産業の振興を図るため、「せとうち半導体共創コンソーシアム」への参画等を通じた技術革新や人材育成にも引き続き取り組んでまいります。

   このほか、イノベーション創出環境を充実させるため、ミライノへの専門人材の配置により多様な主体のネットワーク形成を強化し、起業家の育成や社会課題の解決等に取り組む主体の創出を支援してまいります。

   また、中小企業の強みを引き出し、経営改善を図るため、引き続きHi-Bizによる伴走型支援を行うとともに、サポートビラによる情報配信などを通じて、地域企業への支援強化、産業構造の多角化・高度化を促進してまいります。

   これらの取組みにより、市民の皆様に質の高いかつ選択可能な「しごと」を提供し、地域が「稼ぐ」ことのできる経済環境を形成してまいりたいと考えております。

   農林水産業の振興については、持続可能な農業を推進するために、グループ営農団体の設立促進を図るほか、集落法人の経営改善支援を継続するとともに、有害鳥獣対策として、農作物への被害防止のため、集落ぐるみでの総合的な対策に取り組んでまいります。

   また、水産業では、三津湾でのカキ生育に係る現況調査を実施し、漁場環境の改善に取り組んでまいります。

   このほか、農業の高収益化を図るため、地力の増進に向けたたい肥投入支援を強化するとともに、農業企業の新規参入を促進してまいります。

   東広島ブランドの確立に向けて、観光振興については、酒蔵通りを中心としたインバウンド観光客の受入体制の強化や、「日本酒のまち」としての認知度向上に向けた首都圏でのプロモーションを展開するなど、市内外から人々が訪れる賑わいの創出を図ってまいります。

   また、地場産品のブランド化推進については、市内産品を使った食コンテンツの創出を引き続き進めるとともに、東広島こい地鶏の安定的な生産・出荷体制の構築を図ってまいります。

   次に「誰ひとり取り残さない多様性と調和社会の実現」についてでございます。

   地域住民や地域の多様な主体が世代や分野を超えてつながり、生きがいを持って安心して暮らすことができ、市民お一人おひとりの「Well-being」幸福感が実感できる「地域共生社会」を実現するためには、行政が行う団体自治と市民の皆様の主体的な活動である住民自治との適切な役割分担が必要となります。

   このため、住民自治の担い手となる地域で輝く人材の発掘と育成を行い、地域が輝く多様なつながりを創出してまいりたいと考えております。

   一方、行政の役割としての誰ひとり取り残さない総合的な相談支援体制の充実については、不登校やひきこもり状態にある方を支援する中で、家族や当事者とのつながりを作り、支援者のネットワーク構築を通じ地域全体で見守ることのできる環境を形成してまいります。

   障がい者への支援については、障がい者の特性に応じた相談支援体制の強化や、福祉助成券の交付等の生活支援を推進してまいります。

   また、生活困窮者への支援では、社会的孤立防止に向けたつながりづくりや、引き続き、生活困窮世帯の子どもたちへの学習支援や自立支援を推進してまいります。

   高齢者に係る取組みでは、介護保険料の引き下げをはじめ、新たに住民主体による通いの場など介護予防活動の立ち上げや運営の支援を行うほか、要介護度改善の取組みに対するインセンティブ制度を新たに運用するとともに、介護現場への復職・再就職を支援する研修会等を開催し、本市の介護環境の充実を図ってまいります。

   国民健康保険事業においては、健康診査の受診を促進するため、がん検診の受診料を無料化することで、早期発見・早期治療による健康寿命の延伸を目指してまいります。

   こども まんなか社会に向けた子育て支援の充実については、母子保健と 児童福祉の機能を連携強化したこども家庭センターを設置し、妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない子育て支援体制を構築・強化してまいります。

   また、乳幼児等医療費 支給制度を拡充し、通院の支給対象を18歳到達後の最初の年度末までに拡大するとともに、所得制限を廃止して 新たに「こども医療費」制度として実施するほか、健康診査の対象に1か月健診を追加し、伴走型相談支援体制の拡充強化も図ってまいります。

   保育環境の充実においては、保育士の確保について、今年度に引き続き積極的な確保対策を実施し、年度途中の保育所待機児童の解消に取り組むとともに、公立保育所の改修や私立保育所等の増改築、病児保育施設の開設を支援してまいります。

   さらに、保育士を目指す学生等には講座や保育体験の機会を提供し、保育士職への興味関心を深めてまいります。

   このほか、地域住民を対象とした「やさしい日本語」講座の開催、外国人市民との交流ヒント集の作成など、外国人市民の地域活動への参加促進や国際フェスタの開催等を通じ、国際色豊かなまちづくりを推進してまいります。

   次に、「多彩な地域の特徴を生かしたまちづくり」についてでございます。

   本市の最大の特徴である4大学の立地環境を最大限に活用するとともに、試験研究機関や先端技術産業の高度な研究開発機能の集積、豊富な人材等を有効活用してイノベーションを創造し、本市を牽引する取組みを加速させてまいります。

   このため、新たに広島国際大学を加えた市内3大学や民間企業と連携したTown&Gownの取組みを強化するとともに、次世代学園都市として2050年を見据えた構想を全庁的な体制のもとで検討するとともに、市内事業者や大学と連携し、新たにeスポーツを活用したまちづくりを進めてまいります。

   また、地域の誇りの創出を目指し、地域別計画の着実な推進により、9つの地域それぞれの豊かな自然環境や歴史、文化などの特徴を活かし、人々が誇りを持ちながら快適に暮らせる地域づくりに取り組んでまいります。

   具体的には、市民協働のまちづくり第4期行動計画に基づく取組みを深化させるため、集落支援員制度を活用し、住民自治協議会の運営を伴走支援するコーディネーターを新たに配置するとともに、住民自治協議会などの地域型コミュニティ及び市民活動団体などのテーマ型コミュニティの活動の活性化や担い手不足への支援強化を図ってまいります。

   また、地域活動拠点の整備として、高屋西複合施設工事の本格化や、環境面に配慮した地域センター等の整備、集会所の改修などを進め、地域活動拠点の充実を図ってまいります。

   さらに、「市全体が学びのキャンパス」となるよう、西高屋駅への情報ラウンジの開設など、特色ある図書館づくりを進めるとともに、スポーツ施設の聖地化に係る改修、教育文化振興事業団の体制強化などに取り組むことで、「生涯学び、活躍できる環境の整備と、学びを通じたまちづくり」を推進してまいります。

   このほか、新たな魅力ある都市空間の形成を図るため、大屋根広場の整備については、設計施工 一括発注方式での整備に向けた取組みを推進してまいります。

   中山間地域における生活価値の創造については、地域活性化に資する取組みとして、福富地域における官民連携の「生活デザイン・工学研究所」の取組みを推進し、地域住民参画による里山再生を起点とした地域サーキュラーモデルの確立に引き続き取り組んでまいります。

   また、第五次総合計画の基本理念の浸透を図ることで、DXの活用による市民の利便性向上を図るとともに、SDGs推進パートナーとの連携・支援をはじめとした官民共創によるSDGsの推進を図ってまいります。

   次に「時代を担う子どもを育てる教育・保育の推進」でございます。

   時代を担うこどもたちの 希望ある学びと成長のために、質の高い先導的な教育・保育の実現に向けた取組みを推進してまいります。

   学校教育については、新たにAI機能を有するデジタルドリル等から得られる学習履歴を活用した個別最適な学びを推進するとともに、大学と連携した遠隔授業・遠隔交流による協働的な学びを進め、GIGAスクール構想の推進を図ってまいります。

   学校支援体制の強化については、ICTを活用した授業づくりに対する支援を充実させるとともに、引き続き、若手教員の伴走型支援などを行ってまいります。

   不登校等児童生徒への支援としては、新たに不登校等支援員を配置するとともに、校内特別支援教室を増設し、学校を休みがちな児童生徒への支援を推進してまいります。

   また、地域・大学・企業などとの連携・協働による社会総がかりでの教育の実現を目指し、部活動の地域展開に関する諸課題への対応や関係機関との連携に向けた部活動支援コーディネーターの配置、部活動指導員の増員などによる支援体制の強化を行ってまいります。

   このほか、小規模校での協働的な学びを実施するためのラーニングルームの整備に引き続き取り組むとともに、遠距離通学や特認校へ通う児童生徒の通学費支援を新たに行ってまいります。

   さらなる幼児教育・保育の質の向上については、保護者支援に重点を置いた研修を拡充し、保育士の資質と専門性の向上を図るとともに、広島大学との連携を通じて、幼児教育・保育モデルの研究と実践を行うほか、新たに保育ソーシャルワーカーによる巡回相談を行うなど、保育環境の充実に取り組んでまいります。

   最後に「持続可能な次世代環境都市の構築」についてでございます。

   地球環境問題に対応できる持続可能な次世代環境都市を構築するため、脱炭素化の推進や豊かな自然環境の保全、循環型社会の構築を図ってまいります。

   そのポイントとして、引き続きESCO事業に取り組むとともに、国の採択を受けた二酸化炭素 排出抑制対策事業を実施し、市民や事業者へ太陽光発電や蓄電システムなどの省エネ・再エネ設備導入支援を行い、市全体で脱炭素化の取組みを加速してまいります。

   また、森林の適正管理については、企業などとのパートナーシップによる整備を推進するほか、ひろしまの森づくり事業を通じて市民活動による森林の利活用の促進を図るなど、次世代につなぐ豊かな自然環境の保全と活用を推進してまいります。

   ごみの減量化プロジェクトの推進については、組成分析の結果を受け、資源化の効果が見込まれる紙ごみについて、新たに事業者が行う資源化を支援するとともに、事業者と連携したペットボトルの水平リサイクルの展開や、減量化効果の大きい生ごみ処理機の普及を目指し、生ごみ処理容器等の購入費助成を拡充するなど、普及啓発活動と合わせ循環型社会の構築を推進してまいります。

   以上が令和6年度予算の概要でございます。

   先ほど申し上げましたとおり、一般会計予算額は986億3千万円であり、その財源は市税が373億円余、地方消費税交付金が51億円余、地方交付税が65億円余、国・県支出金が229億円余、市債が88億円余などとなっております。

   また、特別会計は6つの会計で320億円余、下水道事業会計予算は132億円余としております。

   このうち、介護保険特別会計においては、地域包括支援センターの充実や通いの場の全市的な展開などにより、健康寿命が県内でも高い水準となり、要介護認定率が想定より下回っていることから、介護保険料を引き下げることとしております。

   これら新年度予算18件以外の議案といたしましては、人権擁護委員の候補者の推薦に係る「諮問」が5件、農業委員会委員の任命に係る「同意案」が1件、東広島市工場立地法地域準則条例の制定など「条例案」が14件、本年度の執行見込等に伴う「補正予算案」が7件、東広島市都市交通マスタープランの改定についてなど「その他」の議案が4件、全体では49件の議案を提出しております。

   議員各位におかれましては、何卒慎重にご審議いただいたうえ、適切なるご議決を賜りますようお願い申し上げます。

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