令和7年度 施政方針
令和7年第1回東広島市議会定例会 市長開会挨拶
令和7年第1回東広島市議会定例会の開会にあたり、「市政運営に関する私の所信」並びに「令和7年度施策と予算の概要」及び「重点施策」についてご説明申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご支援を賜りたいと存じます。
昨年、本市は、市制施行50周年を迎えました。様々な記念行事を通じて、これまで先人たちが築いて来られた偉業に感謝するとともに、今後の更なる発展と次世代に向けた持続可能なまちづくりの重責を改めて認識した年となりました。
そうした中、世界経済では、依然としてインフレ傾向が続いており、エネルギー価格や食品価格などの高騰が家計や企業の経営に大きな影響を及ぼしております。
このような厳しい状況に対し、本市では市民の皆様の暮らしを守るため、介護や医療に関連するあらゆる世代の負担軽減や生活支援に取り組んでまいりました。
また、国内の少子高齢化による人口減少問題では、東京圏への人口の一極集中により、地方の労働者確保における課題が深刻化しており、様々な労働環境改善の取組みや、子育て支援の充実について国や地方で様々な施策の検討がなされております。
中でも、昨年発足した石破内閣では、能登半島地震からの復旧、復興の取組みを優先しつつも、地域資源を活用した地方の創生、いわゆる「地方創生2.0」として、若者や女性から選ばれる地方をつくることや地域資源を活用した高付加価値型の産業、事業の創出、急速に進化するデジタル・新技術を最大限活用するなどの取組みを推進していくこととされております。
こうした国の取組みは、本市の第五次総合計画で掲げて取り組んでいるまちづくりと方向性を一にするものであり、昨年、一昨年の海外視察や関連の調査で得た、アメリカやヨーロッパの成長を続ける先進都市の現状からも確認することができました。
例えば、ドイツの人口約11万人のエアランゲン市では、国際的な医薬品メーカーがあり、同社が大学と連携して人材や資金を提供し、世界と直接つながりながら、まちや企業に人材が集まる好循環を生み出しております。
また、アメリカのボイシ市やテンピ市においても、「豊かな自然環境」、「大学という知的研究資源」、「国際的企業の立地」がまちの成長に大きく寄与していることを見て取ることができました。
このような視点で本市に目を向けますと、本市には既に世界を舞台とした、大学やグローバルな企業が立地しており、そこでの共同研究等を通じて、新たなイノベーションの動きが生まれ、産学官による新たな経済価値を生み出すシステムが構築されつつあります。
加えて、本市は、デジタル社会への対応やカーボンニュートラルにも積極的に取り組んでおり、国や企業などから注目される脱炭素先行地域への挑戦など、新たな取組みも始めております。
こうした新たな動きは、今後の地方創生、持続的な発展に欠かせないものであり、本市が目指している誰一人取り残さないSDGsの理念や、市民お一人お一人にWell-beingを感じていただけるまち、「選ばれる都市」の実現においても当然、必要な要素になると考えております。
次に、本市を取り巻く国内外の諸情勢について申し上げます。
まず、世界情勢において、米中対立の深刻化やウクライナ情勢の長期化がもたらすエネルギー価格や食料価格の大幅な変動は、世界経済に深刻な影響を及ぼしております。
主要各国の政情が政権交代等により不安定な中、グローバルガバナンスにおいてはリーダー不在の状態が続いており、今後の先行きが不透明な状況となっております。
また、こうした状況を受け、コロナ禍による生産体制の不安定化や円安の影響も相まって、企業においては国内回帰の動きもみられています。
一方、国内経済に目を向けますと、今年1月に政府が発表した月例経済報告では、「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」とされており、先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されております。
今後、賃金上昇が物価上昇を上回ることで消費が増加し、それが企業の国内投資を後押しする形となる、賃金と国内投資の好循環を築くことが、成長型経済の実現に向け必要と考えられておりますが、国全体にこの動きが広がるまでは、今少し注視が必要な状況となっております。
このような環境の中、本市は、西条駅、広島大学間での自動運転・隊列走行BRTの実証実験や広島大学周辺地域の脱炭素先行地域への選定、河内町入野への県営産業団地の整備決定など、未来に向けて市の更なる成長の礎となる動きが着々と始まっております。
さらに、本市の歴史文化の特長の一つである酒造りにおいては、西条酒蔵群の国史跡への指定や伝統的酒造りのユネスコ無形文化遺産登録など、国内外にその価値が認められたことで、本市の認知度向上に追い風が吹いております。
また、持続可能なまちづくりの推進を目的とする、世界共通理念であるSDGsの取組み では、自治体ごとの達成度を可視化した「SDGs先進度調査」において、本市は全国702の自治体の中で27位に選出されました。
これは、本市の取組みが、経済・社会面のほか、特に環境面において国内で高く評価された成果であると感じております。
一方で、瀬野川水系の米軍川上弾薬庫周辺におけるPFAS等の問題は未解決ではありますが、広島県と連携し、国に対して要望を行うことで、使用履歴や保管履歴等が明らかになるなどの進展が見られました。本市といたしましては、今後も継続的な水質のモニタリングや、市民の不安に寄り添った相談対応に努めるなど、市民の安全・安心の確保に努めてまいります。
こうした未来への取組みや課題への対応を進める中で、本市が持つ強みを最大限に活かし、次世代に向けた持続可能な発展を目指すためには、「選ばれる都市」となる環境づくりが不可欠です。人口減少という日本社会全体の潮流の中にありながらも、本市が持続的に人口を伸ばしてきた背景には、国内外の世界的企業が立地し、4つの大学や国の研究機関が集積しているという強みがあります。これは、Town&Gownの取組みを推進するうえで、極めて恵まれた環境にあると考えております。
また、こうした環境は、今後の地方創生の拠点として、東京などの大都市を介さず世界の企業や顧客と直結した稼げる地方都市、いわゆるローカルハブの役割を担える都市へと成長できるチャンスにつながるものと感じております。
さらに、多様な人材に活躍していただける環境を整え、次世代に選ばれるまち、すなわちグローバルスタンダードの意識が備わったまちになることも「選ばれる都市」の重要な要素であると強く認識しているところでございます。
次に、まちづくりにおける基本的な認識を申し上げます。
令和2年に策定した第五次東広島市総合計画では、持続可能な社会の形成と科学技術の進展を見据え、将来都市像を「未来に挑戦する自然豊かな国際学術研究都市」とし、その実現に向けて「世界に貢献するイノベーション創造のまち」と「暮らし輝き笑顔あふれる生活価値創造のまち」という2つの方向性を掲げ、施策を推進してまいりました。
これまで、豊かな自然に恵まれた立地や知的資源と産業の集積に加え都市基盤の整備を土台に、Town&Gownの取組みや、半導体分野での投資拡大や研究開発、人材育成などの動き、また、地域資源を活かした官民連携による新たな生活価値を創造する生活デザイン・工学研究所の設立といった、多種多様な主体による共創の仕組みの構築など、新たな取組みを具体化してまいりました。
このことを踏まえ、総合計画目標年次の令和12年、更にその先の次世代において、世代や文化を越えた誰もが暮らしやすいまちへと成長するための指針として後期基本計画を策定いたしました。
課題が複雑多様化する中、将来都市像の実現に向けては、より市民の皆様が幸福感を感じられるまちとなるために、総合計画の様々な分野を横断した連携による施策の展開が必要であると考え、「Well-beingを実感できる地域共生社会の実現」、「次世代学園都市の実現」、「多様な主体と地域資源を活かした人口減少地域総合対策」、「子どもの健やかな成長のための環境づくり」という4つのテーマを掲げ包括的に施策を推進していくことといたしました。
このうち「Well-beingを実感できる地域共生社会の実現」としては、地域住民や地域の多様な主体が「支え手」「受け手」という関係を超えて、学び合い、支え合い、感謝し合える「シアエル関係」を築くことで、身体的にも、精神的にも、そして社会的にも満たされた「健幸」な状態を実感できるような社会を目指してまいります。
次に、「次世代学園都市の実現」としては、大学とのTown&Gownの取組みを進めるとともに、産学官民の共創による新たな都市モデルを成長戦略に位置付け、基盤となる産業団地や幹線道路等の整備を進めるとともに、半導体産業をはじめとした多様な産業の集積や民間投資を呼び込み、先端的な学術・研究の活用を推進することで社会課題の解決を図り、学園都市としての発展を目指してまいります。
また、「多様な主体と地域資源を活かした人口減少地域総合対策」としては、「地域特性を活かしたまちづくり」、「地域内経済循環の拡大」、「人口の流出抑制・流入促進」の3つの視点から、市民活動の支援や産業活動支援、生活環境の整備、教育の充実などの施策を総動員することにより、「住みたい、住み続けたい」と思える地域の活力の維持に取り組んでまいります。
最後に、「子どもの健やかな成長のための環境づくり」として、子どもを権利の主体として、子どもの視点に立ち、子ども・子育て世帯への切れ目ない支援を充実させることで、すべての子どもが健やかに成長し、将来にわたって幸せな状態で生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現に取り組んでまいります。
これらに加えて、選ばれるまちに向けた多様な主体が活躍できる環境づくりとして、女性や若者、外国人などの多様な主体が、個性と能力を十分に発揮して活躍でき、生きがいやWell-beingを感じられる環境の醸成に取り組んでまいります。
そのほか、私の第2期での公約に掲げた「命と暮らしを守る体制の整備」をはじめとする6つの施策に重点的に取り組むことで、5つの柱からなるまちづくり大綱を推進し、市民の暮らしの満足度を支えてまいります。
このように、目指すべき姿の実現に向けて、東広島市はこれまで行ってきた、まちづくりへの投資を基盤としながらも、未来に向けた挑戦を続けていく必要があります。
そのためには、成長を牽引する次世代学園都市構想を強力に推進し、大学との連携を深めるTown&Gownの取組みを進めるとともに、産官学民と地域が共創することで市全体の発展を促す成長エンジンとなり、地域や経済の好循環を図り、それに伴う人口増や税収などの果実を全市域へ波及させていく取組みを戦略的に展開したいと考えており、「総合計画の推進」「中期的な財政運営」「施策推進体制の整備」を、一体として進めていく必要があり、これらを三位一体で取り組むことで、市の発展を堅実なものとしてまいります。
そして、次世代への期待を市民の皆様が実感し、お一人お一人がWell-beingを感じて暮らし続ける「やさしい未来都市東広島市」を実現するため、私自ら先頭に立って組織の成長を促すとともに、変化する時代に果敢に挑戦し、市政運営に全力で努めてまいる所存でございます。
議員各位をはじめ、市民の皆様のご支援とご協力を賜りますよう、改めてお願い申し上げる次第でございます。
これまでご説明いたしましたような、本市を取り巻く諸情勢と基本認識を踏まえまして、令和7年度当初予算案の概要でございます。
昨年11月に策定した中期財政運営方針を踏まえ、来年度は市民の所得向上と活発な民間投資から、400億円超の市税収入を見込むとともに、有利な財源を最大限活用することで、安心して暮らすことのできる生活環境や都市インフラの整備と、将来の税収増を呼び込む施策を積極的に展開することとし、市制施行以来、初の1千億円台となる予算規模となりました。
この一般会計予算総額「1,071億円」を一言で表すなら、「Well-beingを感じる未来都市へステップアップ」予算でございます。
具体的には、まず、次世代学園都市の骨格形成に向けて力強く歩みを進めるため、Town&Gown構想や産業団地整備の推進に加え、新たに、脱炭素先行地域における学園都市型カーボンニュートラルの構築に取り組んでまいります。
また、市民お一人お一人が地域社会の中で安心して充実した生活を送ることができ、活躍できる環境づくりに向けて、子どもや高齢者、障がい者はもちろん、女性や若者、外国人など、市民の皆さまの様々な声に寄り添い、市民生活をしっかりと支えてまいります。
そのほか、健全な財政との両立を図りつつ、従前より取り組んでおります学校や保育施設、道路や橋梁などの公共インフラ施設の整備に加え、地域活性化につながる交流促進や賑わいづくりのための拠点として大屋根広場や福富みらいベースなどの整備を進めてまいります。
次に私の公約である6つの重点に沿って主な施策の概要をご説明いたします。
まず、「命と暮らしを守る体制の整備」でございます。
災害死ゼロを目指した防災対策といたしまして、市民の命と暮らしを守るため、ハード面とソフト面の両面からの対策を行うことで、市民の皆様が安心して生活を送ることができるように取り組んでまいります。
ハード面の対策においては、近年の水災害の激甚化や頻発化を踏まえ、浸水被害の軽減に向けて、浸水被害リスクの高い河川を中心とした治水対策や市街地の内水浸水対策を実施するともに、治水対策推進のための制度設計に向けた調査に取り組んでまいります。
また、ソフト面の対策においては、新たな防災物資の備蓄集配拠点を整備することで、円滑な物資集配や避難所における生活物資の充実を図り、安心して避難できる環境を整えるほか、地域防災リーダーを核とした地域の防災力の強化を図ってまいります。
総合的な医療体制の整備として、地域医療や救急医療の充実・強化については、慢性的な小児科医療の不足に対応するため、新規に開業する小児科医療機関への支援を行うとともに、持続可能な救急医療体制の構築を図るため、救急医療に関する新たな計画を策定し、体制の強化につなげてまいります。
2つ目、「仕事と生活価値を創造する基盤づくり」でございます。
本市が更なる成長を遂げていくためには、起点の一つとなる産業基盤の充実強化が不可欠であり、多様な働き方が可能となり、それぞれの夢を追求できる環境を整えるため、起業支援や中小企業の育成、成長産業の誘致を推進していく必要がございます。
そのため、市の基幹産業である半導体関連産業の集積を進めるべく、「せとうち半導体コンソーシアム」を中心とした技術開発や人材育成を推進するとともに、本市の成長を支え加速させていくために、半導体やAIなどの成長産業の更なる国内投資の受け皿となるべく、市が事業主体となった産業団地の整備を進めるほか、広島県と連携した入野地区における産業団地の整備、民間事業者による産業団地整備に対する支援など、市・県・民間が三位一体となり積極的な整備に取り組んでまいります。
このほか、イノベーション創出環境を充実させるため、ミライノの活用を促進し、多様な関係機関との連携を深めることで、地元産業をけん引していく人材の育成や創業を促進するとともに、後継者不在状況の把握や潜在層の掘り起こしによる円滑な事業承継の支援、Hi-Bizによる伴走型支援やサポートビラによる情報配信などを通じて、地域企業への支援強化、産業構造の多角化・高度化を促進してまいります。
農林水産業の振興につきましては、農業活動の持続と経営の安定化を促進するため、農作業の効率化や省力化技術の導入、畦畔除去によるほ場の拡大を支援するとともに、三津湾での牡蠣育成に係る海域環境の改善に取り組むことで、持続可能な農林水産業の基盤を整備いたします。
また、新規就農者の育成戦略の構築や、経営力の高い農業企業の誘致に引き続き取り組むことで、耕作放棄地の再生や次世代の担い手となる農業者の育成を行い、農業の高収益化を図ってまいります。
さらに、東広島ブランドの確立に向けて、観光振興については、西条酒蔵通りのキーコンテンツの創出や、「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録を契機とした日本酒大学の開催など、関係機関との連携を密にしながら、本市の特長を活かした取組みを展開し、市内外から人々が訪れる賑わいの創出を図るとともに、東広島こい地鶏の生産・流通体制の確立に向けた支援を強化してまいります。
3つ目、「誰ひとり取り残さない多様性と調和社会の実現」でございます。
地域住民や地域の多様な主体が世代や分野を超えてつながり、生きがいを持って安心して暮らすことができ、市民お一人お一人が「Well-being」を実感できる「地域共生社会」を実現するためには、行政が行う団体自治と市民の皆様の主体的な活動である住民自治との連携・協働が必須と考えており、住民自治の担い手となる地域で輝く人材の発掘と育成を行い、地域が輝く多様な繋がりの創出に取組んできたところでございます。
また、今後の本市の発展に向けては、国内外から多様な人材を迎え入れる必要があり、多様性(ダイバーシティ)と包摂性(インクルーシブ)を併せ持つまちを形成していく必要があります。それを基盤として、女性や若者、外国人などの様々な主体が活躍し、夢を実現できる環境を整え、まちの活性化につなげてまいります。
同時に、望まない孤独や孤立を防ぎ、誰一人取り残されることなく、安心して暮らせる社会の実現を図るため、子ども、高齢者、障がい者、外国人など、多様な市民お一人お一人を尊重し、共に生きることができる地域を目指してまいります。
そのために、CSW(コミュニティーソーシャルワーカー)による地域福祉活動の促進や、民生委員等による地域での見守り活動のほか、身近な地域での相談支援に引き続き取り組むとともに、不登校やひきこもり状態にある方及びその家族に対する支援など、包括的な支援体制の構築を図ってまいります。
また、高齢者への支援としては、元気輝きポイントのデジタル化に向けた実証実験や、介護事業所への介護ロボット・ICT機器等導入支援に取り組むほか、障がい者に係る取組みとしては、身近な地域での相談支援を充実させるため、高屋地域でモデル的に相談窓口を設置するとともに、発達障がいの初診待機期間の短縮に向けた支援を行います。
さらに、生活困窮者への支援では、住居の確保が困難な方のための住まいの総合相談窓口の設置や、フードバンク事業を活用した生活困窮世帯とのつながりづくりにも取り組むことで、誰ひとり取り残さない支援体制を構築してまいります。
こどもまんなか社会に向けた子育て支援については、産後ケア事業において、出産前後に利用できる支援を充実させ、妊娠期から子育て期にわたる切れ目ない子育て支援体制を強化してまいります。
また、保育環境の充実を図るため、積極的な保育士確保対策を継続するとともに、保育補助者など保育士以外の人材の活用を促進することで、保育の受け皿拡充を図り、誰もが安心して子どもを産み育てられる環境づくりを進めてまいります。
このほか、増加を続ける外国人市民についても安心して暮らすことのできる環境をつくるため、引き続き、相談窓口の設置や日本語学習等の外国人市民への支援を行うほか、地域の受け入れ体制を整えるための取組みの紹介や、地域でのキーパーソンとなる外国人市民を育成するための防災啓発講座を実施することで、国際色豊かなまちづくりを推進してまいります。
4つ目、「多彩な地域の特徴を生かしたまちづくり」でございます。
市内各地域の自然環境や歴史、文化などの地域資源を活かし、市民の皆様が誇りを持ちながら快適に暮らすことのできる地域づくりを進めるとともに、大学や先端技術産業の研究開発機能や豊富な人材を活用し、市内3大学と連携する「Town&Gown構想」をさらに推進し、新たな魅力ある都市空間の形成にも取り組んでまいります。
まずは、地域別計画の推進による地域の誇りの創出に向けて、地域別計画に基づく各施策を推進することにより、9つの地域それぞれの特徴を活かし、活力の湧き出る地域づくりに取り組むととともに、地域の状況、課題に応じた住民自治活動への支援や、地域センター等の整備や集会所の改修などを進め、地域活動拠点の充実を図ってまいります。
また、学びのキャンパスを推進するため、障がいのある人のスポーツ促進や新文化財センターの整備を進めるとともに、デジタル技術を活用した図書館と地域の交流空間となる「高屋情報ラウンジあったかや」の活用を進めてまいります。
加えて、様々な取組みが具体化してきた市内3大学との「Town&Gown構想」を推し進めるほか、デジタル人材育成やネットワーク形成に向けてまちづくり団体の活動を支援することで、産学官民が連携したまちづくりやDXの推進に取り組んでまいります。
そのほか、生活価値創造のまちの具現化を推進していくため、福富地域における里山の整備・活用や、活動拠点となる「福富みらいベース」を整備するなど、未来へ挑戦するプロジェクトを展開してまいります。
5つ目、「時代を担う子どもを育てる教育・保育の推進」でございます。
新たな時代を担う子どもたちの育成のため、質の高い教育と保育を推進してまいります。学校教育については、引き続き、デジタルドリル等の学習ログを活用した「個別最適な学び」と、大学と連携した遠隔授業等による「協働的な学び」を一体的に推進することで、教育における学びを充実させてまいります。
また、ICT支援員を増員し、学校へのサポートを強化するとともに、小中学校には心のサポーターを配置し、児童生徒への支援の充実を図ります。
不登校等児童生徒への対応として、校内特別支援教室(スペシャルサポートルーム)を増設し、多様な学びの場を設けるなど、より多くの児童生徒を支援してまいります。
このほか、地域・大学・企業などとの連携・協働による教育の実現を目指し、地域と一体となった特色ある学校づくりや部活動の地域展開を進めるため、コミュニティ・スクール推進員や部活動支援員の増員などにより支援体制の強化を図ってまいります。
幼児教育・保育の質の向上としましては、大学有識者などの外部アドバイザーによる支援により保育士の資質・専門性の向上を図るほか、保育環境づくりの好事例について市内保育所等への水平展開を進めることで、保育環境の充実に取り組んでまいります。
最後(6つ目)に、「持続可能な次世代環境都市の構築」でございます。
まず、脱炭素化の推進でございますが、昨年9月に、環境省の「脱炭素先行地域」に採択され、共同提案者である広島県、広島大学、民間事業者等と連携しながら、「ゼロカーボンシティ」の実現に向けた取組みを一層加速させてまいります。
西条下見地域を本市の脱炭素先行地域と位置付け、民生部門の電力由来の二酸化炭素排出量を2030年までに実質ゼロとする、学園都市型カーボンニュートラルの構築のため、民生部門の電力需要量の削減を図りつつ、再エネ設備導入の推進や再エネ電力への切り替えにより脱炭素化の実現を目指すほか、地域の脱炭素化に向けた意識変容や行動変容に向けた啓発等に取り組んでまいります。
また、豊かな自然環境の保全と活用については、企業等とのパートナーシップによる森林の適正管理を行うとともに、福富地域における森林資源の地域内循環モデルの構築などにより、里山の利活用の推進や環境価値の創出を図ってまいります。
ごみの減量化プロジェクトの推進については、資源の循環と廃棄物の削減を図るため、引き続き、一般廃棄物に占める割合が高い紙ごみをターゲットとした資源化の促進に取り組むとともに、ごみ排出量削減に向けた啓発により、循環型社会の構築を目指してまいります。
以上が、一般会計予算案及び重点施策の概要でございます。
総額1,071億円の一般会計に加えまして、6つの特別会計は338億円余、下水道事業会計予算は124億円余でございます。
これら新年度予算18件以外の議案といたしましては、人権擁護委員の候補者の推薦に係る「諮問」が10件、刑法等の一部を改正する法律等の施行に伴う関係条例の整備についてなど「条例案」が15件、本年度の執行見込等に伴う「補正予算案」が7件、下竹仁辺地に係る公共的施設の総合的な整備に関する財政上の計画の策定についてなど「その他」の議案が11件、全体では61件の議案を提出しております。
議員各位におかれましては、何卒慎重にご審議いただいたうえ、適切なるご議決を賜りますようお願い申し上げます。
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〒739-8601
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更新日:2025年02月27日