ブックデビュー推進講座「教え」から「学び」へ~今地域ができること を開催しました

更新日:2022年01月20日

令和4年1月12日にブックデビュー推進講座をオンラインを活用したハイブリッド開催で実施しました。

新型コロナウイルス感染症拡大の状況を鑑み、急遽開催を変更しましたが、市内外から、絵本の読み聞かせなどの活動をされている方、子育て支援に関わられている方、妊産婦や子育て中の方など、約80人の方が参加されました。

参加者からは、「子どもの言葉をよく聞くことを基本とし、否定しないで、共感すること、どう思うか聞くことなど具体的にできることがよくわかりました」、自分の子育てに活かすことができたら・・・と少し悔やまれますが、機会あるごとに保護者の方へ伝えていきたいと思います。」等の感想をいただきました。

 

汐見稔幸氏講演会

<読み聞かせ>から<読み語り>へ~0歳からの育ちが、人の一生にあたえる意味~

汐見稔幸先生には、「<読み聞かせ>から<読み語り>へ~0歳からの育ちが、人の一生にあたえる意味~」と題し、子どもへの声掛けの具体例も交えながら、お話しいただきました。

・“人間の誠実さ”は“自分に対する誠実さ”から生まれること(他者に対しても誠実になろうと思えば自分に対して誠実であるということがその出発になること)。そして、自分に誠実になるには、自分の言葉が本当の自分の思いを表現しているかが大切になること。

・赤ちゃんの時からいつも「聞く」をキーワードに付き合うこと。大人は子どもが言うことに共感したり、子どもの感性を面白がったりして、子どもが言葉を生み出したり、自分の意見を言えるようにしてあげること。子どもの素直な感情を子どもが言葉で形にしたとき、大人が期待したことを言わなかったとしても、否定せず受け止めてあげることが大切であること。

・読み聞かせから読み語りへ
「語る」は吾が言う(人格が言う)、「話す」は舌が言う
他にも“かたる”には「騙る」「交る」という意味があり、
読み語りには、人をフィクションの世界に連れ出し(騙る)、心を込めた言葉を紡ぎだし(語る)、きいているみんなの心が一つになる(交る)という意味があるので「読み語り」という言い方を提案している。

・人間は、一人一人は弱いがゆえに他者を必要とし、協力し合う、共感し合うことを大切にしてきた。子どもを育てていくときも「人と深く交われる」人間に育ててあげることが大切であること。その最初の体験は、親子の関係。そのツールとして「読み語り」は有効だと感じています。すぐに効果が出るわけではないけれど、深いところで大事なものを育てている。

参加者からの質問

講演後は、参加者からの質問にも答えていただきました。
一部を抜粋してご紹介します。

○わが子に絵本を読んであげるときの工夫は。
ブックデビューは0才から絵本を読んで親子のコミュニケーションのーつに、というものだが、それを聞いて焦るお母さんもいるかもしれませんが、絵本の内容がわかるようになるのは2才、3才から。それまでは、めくったり、しゃぶったり・・・「絵本であそぶ」、「絵本に慣らす」でよいのではないでしょうか。
一生懸命読んで聞いてもらうことを目標としなくでも大丈夫です。だんだん絵本が面白くなってくるときがきます。
また、絵本だけでなくて、おもちゃを活用するのもいいですね。おもちゃで遊んでいたら、それを見て遠くから「きれいにできたね~」などの声をかけてあげるだけでも十分です。
子どもにいろいろなことを「やってあげなければいけない」と思うと子育ては苦しくなってきます。大人は子どもが自分であれこれチャレンジできる環境を整えてあげることが大切だと思います。

○絵本をすぐにぱたんと閉じてしまうときは。
すぐに興味を持たなくても気にしなくて大丈夫で、続けることが大切です。
子どもの目をしっかり見て、「今日こんなことがあったの」と30秒でも3分でも語ることを続けると、子どもは言葉に対して興味を持つので絵本の世界にも入りやすくなりますよ。

○親自身が自分の意見を言うのがあまり得意でないので、それを子どもに求めにくいのですが・・・
子育ては、子どもと同じくらい親が育っていく営みです。自分も子どもに育てられているのです。
まずは、子どもが何か言ったときに「へぇ~面白いこと考えるねぇ。(どうしてそう思ったの?)」と受け止めて引き出す言葉をまずは練習しておくといいですよ。


○6才の子が人の心を表す語彙が少ないように思うのですが、何かできることがありますか。
感情を正確に言葉で表そうとするのはすごく難しいことなので、まずは単純な感情表現をすることを励ましていくといいと思います。

 

shiomi

(参加者からの質問に答える汐見先生)

ブックデビュー推進講座ブックリスト

東広島市立図書館のホームページでは、汐見先生の著書をはじめとした今回のブックデビュー推進講座ブックリストを公開しています。

https://lib.city.higashihiroshima.hiroshima.jp/WebOpac/webopac/searchbunya.do?type=7&count=-1&histnum=1&menukbn=1

※リンク内の「ブックデビュー推進講座 図書案内 2022.01 」をご覧ください。

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