曽場が城跡(八本松町)が市の史跡に指定されました(令和6年4月25日)

更新日:2024年04月25日

鏡山城を継ぐ大内氏の安芸国支配の拠点

曽場が城跡遠景(南東から)

市史跡 曽場が城跡(八本松町原)は16世紀前半に大内氏が築いた杣城(そまじょう・そまがじょう)の遺構です。
鏡山城の廃城後、大内氏の安芸国支配の拠点が置かれた城であり、山陽道を押さえる上でも好位置にあります。
比高350メートルと高く険しい城で、曽場ヶ城山(そばがじょうやま)の山頂から東に約750メートルにわたって郭群が広がる大規模な山城です。遺構も良好に保存されています。
鏡山城跡(史跡)、槌山城跡(市史跡)とともに大内氏の安芸国支配体制を考える上でも重要な城跡として、市の史跡に指定されました。
歴史や構造等の詳細はこちらをご参照ください。

※表記については以下の基準で使用しています。
   曽場が城跡:史跡の名称
   曽場ヶ城山:曽場が城跡が遺る山の名称
   杣城:当時の文献資料に記されている城の名称(杣城の遺跡名が「曽場が城跡」です)

基本情報

  • 名   称   曽場が城跡(そばがじょうあと)
  • 種   別   史跡(市指定)
  • 員   数   1件
  • 所在地   東広島市八本松町原10128番1のうち316,000平方メートル
  • 指定日   令和6年4月25日
  • 年   代   中世後期(16世紀前半)
史跡指定範囲

史跡指定範囲

位置図

曽場が城跡位置図

※見学用の駐車場はありませんので、ご留意ください。

詳細

歴史

杣城の初見は、大永8年(1528)6月の陶興房(大内氏の重臣)書状です。
当時の西条盆地は東西条と呼ばれ、大内氏の支配下にありましたが、大永3年(1523)から出雲の戦国大名尼子経久の侵入を受け、その支配拠点である鏡山城が落城しました。
陶興房は大永5年(1525)に尼子氏から東西条を回復すると鏡山城を廃し、重臣の伊香賀壱岐守を代官(小郡代カ)として杣城に在城させました。
その後、東西条郡代に就任した弘中隆兼が在城したとみられ、天文5年(1536)から始まる平賀弘保・興貞父子の内紛では、大内方の弘保を支援して頭崎城を攻める拠点として機能しました。
尼子氏の支援を受けて抵抗する頭崎城に対し、大内義隆は天文8年(1539)、弘中隆兼に代えて杉隆宣を派遣し、長門守護代内藤興盛の嫡子内藤隆時に隆宣の支援をさせる体制を採ったようです。
天文12年(1543)、杉隆宣の出雲での討死後、新たに西条守護に就任した弘中隆兼は杣城南方約4.5kmの槌山城に拠点を移し、杣城は廃城となりました。
廃城後もこの地の重要性が失われたわけではなく、曽場が城跡の北東に位置する字飯田に新たに土居遺跡を築いています。

構造

城跡は、標高607mの最高所に位置する城域西端の「一つ城」郭群と、中央に位置する主要部郭群、そして東端に位置する「午の段」郭群の三つの郭群からなります。
主要部郭群は、西端に「本丸」と呼ばれる1郭を配置し、間に2郭を挟んで東側に一段高く3郭を配します。3郭と2郭の間には浅い堀切があり、独立性が高められています。
3郭の東側から午の段にかけて階段状に4つの郭を配しています。「本丸」の北側には、十数メートルにわたって野面積の石垣が残ります。
「本丸」の西側は8条程の堀切で「一つ城」郭群と切り離されており、また主要部郭群と「一つ城」郭群の間は距離もあり、「一つ城」郭群は、独立性の強い郭群となっています。
「午の段」郭群は、主要部から20mほど低い尾根の南側斜面を中心に造られた郭群で、「午の段」の名称は南を指す午の方角に由来します。南端近くには二段の広い郭があり、居住空間であった可能性があります。「午の段」郭群には、随所に石垣が残り虎口を形成している箇所もあります。
「本丸」と「一つ城」郭群の間の南側の谷は「水ガアテ」と呼ばれており、水の手があったと推測されています。

※参考文献

  • 小都隆編 2020 「安芸の城館」 ハーベスト出版 
  • 東広島市教育委員会 1999  「安芸のまほろばフォーラム記録集 第5回 鏡山城その歴史と意義 -大内氏の地方支配を探る―」 
  • 広島県教育委員会 1994 「広島県中世城館遺跡総合調査報告書 第2集」 
遺構図

遺構図

5郭から4郭を望む(東から)

5郭から4郭を望む(東から)

本丸の状況(東から)

本丸の状況(東から)

本丸北側の石垣

本丸北側の石垣

本丸西側の堀切

本丸西側の堀切

午の段の石垣

午の段の石垣

この記事に関するお問い合わせ先

生涯学習部 文化課 文化財係
〒739-8601
東広島市西条栄町8番29号 北館2階
電話:082-420-0977
ファックス:082-422-6531

​​​​​​​メールでのお問い合わせ