平成21年度建設委員会行政視察報告

更新日:2016年11月04日

建設委員会行政視察報告

参加者:高見委員長、早志副委員長、杉原委員、大江委員、赤木委員、中曽委員、坂本委員

執行部職員4名、事務局随行1名

平成21年10月27日(火曜日)北海道函館市

「中心市街地活性化について~函館駅前・大門地区の整備改善と商業等の活性化~」

28日(水曜日)千葉県船橋市

「公共事業コスト構造改善プログラムついて」

29日(木曜日)神奈川県横須賀市

「工事品質を確保する仕組みづくりについて~工事成績条件付き入札制度~」

北海道函館市

人口 287,909人 面積 677.92平方キロメートル 一般会計総額 1,248.2億円

調査事項

「中心市街地活性化について~函館駅前・大門地区の整備改善と商業等の活性化~」

中心市街地の現況

 函館駅前・大門地区は、道南全域においても中心的な地位を確立し、「函館の顔」として発展してきたが、郊外地域への大型店出店や、北東部への人口移動などの影響を受け、空洞化が進行し、商業集積としての求心力が急速に衰えを見せてきた。そのため、駅周辺の行政・商業・業務の諸機能が集積している都心地区を中心市街地のエリアとして、平成10年7月に施行した「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律」に基づき、平成11年5月に「函館市中心市街地活性化基本計画」を策定し、市街地の整備及び商業等の活性化を図る諸事業を展開している。

活性化基本計画の概要
第1ステージ:重点地区でのシンボルプロジェクトを実施する
  1. 函館駅前シンボル地区(駅舎・駅前広場の整備)
  2. 都市商業軸強化地区(駅前通[駅前電停~松風町電停]の整備)
  3. グリーンプラザ地区(グリーンプラザの整備)
  4. 大門新拠点地区(人の回遊を作り出す新たな拠点開発)
第2ステージ:官・民協働モデルプロジェクトを実施する
  1. 商業系プロジェクトで民間投資を引き出す
    平成12年9月に函館市タウンマネージメント機関(TMO)を設立し、屋台村開設など商業活性化諸施策を展開
  2. 都心居住プロジェクトの実践
    借上市営住宅・医療施設併設の高齢者向け有料賃貸住宅の供給
第3ステージ:民間投資が誘発され、自主的な地区更新が進む
  1. 新幹線開業も見据えた積極的なホテル・飲食店の進出
  2. 特別養護老人ホームなど福祉施設も複数進出し、都市機能が多様化
評価
  1. 飲食店・若者向け衣料品店など、多様な商業活動が具体化
  2. 居住が促進され、人口減少に歯止め
  3. 福祉施設の供給など都市機能は多様化
今後の課題

公共施設用地の活用、駅前通の整備等魅力ある拠点づくり、もう一つの商業核との連携強化

委員の感想

 民間との連携により相乗効果が生まれていた。また、中心地の集客を目的とし実施されている無料バスは、中心地活性化策の具体案として大変参考なるものだった。
 市中心市街地活性化基本計画は、取り組まれて12年目になるが、第1~第3ステージと重点地を設定しながら、シンボル、官民協働、そして、民間投資を誘発してまちづくりをするまさに理想的である。特に借り上げ市営住宅、高齢者向け有料賃貸住宅などは見習うべきだと思う。また、早くからゾーンを決定することによって、道路、上下水道等も施工計画も立て易いと思う。本市で現在行っている市民協働の街づくりも地域との会合をもっと増やすこと。
 TMOによる施策により、中心市街地の活性化を目標とした事業であった。第3セクター方式での民間まちづくり会社を創立し、中心地へ人々が集まり、にぎわいを創り出せるソフト事業とハード事業両面への色々な仕掛け造りを実践されていた。TMOのソフト事業は数少ない事例ではないかと思う。
 郊外へ大型店舗が進出し、中心部の空洞化が進行し、商業集積としての求心力が衰えている本市として、市街地の整備と商業の活性化が急務とされている。函館市では、活性化基本計画に基づき、中心部への人口集積手法として、民間施工による特別養護老人ホーム、高齢者向け有料住宅、借り上げ市営住宅等に医療施設を整備し、集積拠点を生み出している点は参考になる。また、函館駅の拠点性を高めるため、各地域から駅に向かうバスでは、駅で降りる場合のみ無料でその他の区間では通常料金とする買い物バスの取り組みは、大変参考になる。
 函館市の中心市街地活性化対策については、商業活動が活性化し、実際に人口減少に歯止めがかかるなどの成果が見られ、参考になった。本市でも魅力ある拠点づくりが課題であり、そのための財源確保策も考えなければならない。
 中心市街地の活性化が、「みじかなサービス提供」と「ふれあいとやさしさに包まれた世界都市」をコンセプトにした街づくりにしっかり位置づけられていると思った。借り上げ市営住宅・医療施設併設の高齢者向け有料住宅、若者住宅支援などが人口減少をとどめ活性化につながり、かつ、行政サービスの向上と経費削減をもたらしていることを学んだ。近隣、遠隔地からの集客対策として無料の買物バス・買物電車運行は、期待ほどの乗客数ではないとのことでしたが、交通弱者の移動手段確保、中心市街地域の交通渋滞や環境対策などにもつながっていると思った。

千葉県船橋市(10月28日)

人口 585,645人 面積 85.64キロ平方メートル 一般会計総額 1,508億円

調査事項「公共事業コスト構造改善プログラムついて」

公共事業コスト縮減に関する組織・施策
平成 9年

・建設局内に「建設局公共工事コスト縮減推進委員会」を設置
構成:委員会(建設局長、部長5人)
-幹事会(所属長12人)

平成11年

・「船橋市建設関連部公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」策定
旧建設省制定の公共工事コスト縮減対策に関する行動計画を参考に、公共工事に特化したコスト縮減を対象とした。

・全庁的な組織「船橋市公共工事コスト縮減推進委員会」に名称を変更
構成:委員会(副市長、建設局長、関係部長10人)
-幹事会(関係所属長30人)

平成13年

・「船橋市公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」策定
工事に関するコストだけでなく、時間的なコスト低減、ライフサイクルコストの軽減などを含めた総合的な施策とした。

平成17年

・「船橋市公共事業コスト構造改革プログラム」策定
国土交通省策定のプログラムを参考に、公共事業の全てのプロセスをコストの面から見直し、工事費の削減だけでなく、事業の迅速化、計画・設計等の最適化、調達の最適化、透明性の向上などを図る施策を中心とした。

平成19年

・事業全般を対象とする「船橋市公共事業コスト縮減推進委員会」に名称を変更
構成:委員会 (副市長、建設局長、関係部長13人)
-幹事会 (関係所属長34人)
-作業部会(幹事会の幹事から推薦を受けた担当者45人)

平成21年

・「船橋市公共事業コスト構造改善プログラム」策定
コストと品質の両面を重視する方向に転換を図るため、VFM最大化を重視した総合的なコスト構造改善を推進する施策とした。

船橋市公共事業コスト構造改善プログラムの具体的な施策
(1)事業のスピードアップ
  • 関係機関との協議手続きの迅速化・簡素化
  • 重点的な投資や進捗管理の徹底による事業効果の早期発現
  • 用地取得業務の効率化のための民間活力の活用 など
 (2)計画・設計・施工の最適化
  • 技術基準類の弾力的運用(ローカルルールの設定)
  • 工事に伴うCO2排出の抑制による地球温暖化対策
  • 建設副産物の対策等 など
 (3)維持管理の最適化
  • 市民やボランティアの参加など実情や施設特性に応じた維持管理
  • 施設の長寿命化を図るための技術基準類の運用  など
 (4)調達の最適化
  • 多様な発注方法の活用
  • ワンデーレスポンスや三者会議など受発注者の協働による生産性向上
  • 企業の持つ技術力・経営力の適正な評価 など
 公共事業コスト縮減に関する取り組み結果(平成14年度を基準として算定)
  • 平成17年度 縮減率3.17% 縮減額579,603,463円
  • 平成18年度 縮減率3.21% 縮減額660,737,581円
  • 平成19年度 縮減率3.10% 縮減額595,425,540円
  • 平成20年度 縮減率5.20% 縮減額792,326,654円
公共事業コスト縮減に関する取り組みの説明の様子の写真
委員の感想
  • 工事コストの削減だけでなく時間的コスト、品質向上によるライフサイクル・コストなど総合的なコスト削減が図られ、その効果が計られている。削減効果額もさることながら、行財政の現状認識⇒改善課題の認識⇒実践的な認識⇒成果の認識⇒新たな課題と目標認識など、職員の認識の共有化が図られ、事業部を超えた横断的なネットワークが形成されていることを学んだ。
  • 「どこでもやっていること」と局長が説明されたが、問題はそのシステム化が重要であり、そのシステムは実践的にバージョンアップされるもので系統的・継続的な取り組みが、それを形成するということを改めて学んだ。だからこそ、それを担うマンパワーの育成、そのためのジョブローテーションを含めた人事政策について、我が市でも検証・検討が必要と思った。
  • 公共事業コスト縮減については、東広島市でかなり取り組んでいると思うが、船橋市では、組織内の情報共有、横のつながりがあり、大きな差があると感じた。特に公共下水道の取り組みは財源の縮減に大きな差があると思う。船橋市においても、10年間で30数%縮減できたのも、公共下水道工事が大きなウェートを占めているように思われた。
  • 公共事業コストについて、約10年前より、段階的に変革されて取り組まれ結果として、年度毎に効果を出されていた。特徴としては、改善プログラムを作成し、目標を明確にして事業を進めている点である。その重点内容として、「(1)事業のスピードアップ」、「(2)計画・設計・施工管理まで各段階における最適化」、「(3)調達手段の最適化」を図るため、副市長をトップに幹事会、作業部会、推進委員会を設置、3%以上/年のコスト縮減に取り組まれ、年間で6~7億円のコスト縮減をしていた。
  • 公共事業コスト構造改善プログラムについて具体的施策を推進するため、事業のスピードアップには、合意形成、協議手続き改善の検討が必要で、そして手続き迅速化、簡素化の推進、透明性の向上も必要。
  • 現場の課題に対して迅速な対応を行うためのワンデーレスポンスや、工事の早期完成を目指すため、設計者と受注者と発注者が協議する三者会議を本市でも検討する必要があると思った。
  • 先進的な取り組みで大変参考になった。特に経費の削減だけでなく、質の向上に取り組む姿勢は、本市も見習うべきだと思った。

神奈川県横須賀市(10月29日)

人口 429,771人 面積 100.68平方キロメートル 一般会計総額 1,320.6億円

調査事項

「工事品質を確保する仕組みづくりについて 工事成績条件付き入札制度」

横須賀市の入札制度の特徴
  1. 全ての入札(工事、物件、委託)を条件付一般競争入札で実施
  2. 全ての入札は、独自に開発した電子入札システムで実施
  3. 全ての入札を契約課が実施

 目的:「不正がおきないような入札制度」「競争性の維持」「品質の確保」

入札改革の歩み
  • 第1ステップ:談合と汚職の防止に向けた制度改革【平成10年~平成12年】
  • 第2ステップ:電子入札システムの導入と拡大【平成13年~】
  • 第3ステップ:競争と品質の両立に向けた制度改革【平成15年~】
入札改革の歩み
 

競争性・透明性・公正性

工事品質・不良事業者排除

平成11年~

・一般競争入札の全面導入

・工事事業者のランク付けの廃止

・優良事業者優遇と不良事業者へのペナルティの強化

平成13年~

・電子入札の全面導入

・より厳正な工事成績評定の実施

・工事検査員の増強

平成14年~

・談合等賠償額の予定条項の導入

・入札監視委員会の設置

 

平成15年~

 

・前払金の拡充と中間前払金の新設

・事業者登録の毎年更新

平成16年~

・平均額型最低制限価格の導入

・共同企業体入札を混合入札に転換

・工事成績を入札参加条件へ導入

 工事成績条件付き入札制度
制度の内容

従前の方式

経営事項審査の総合評定値によるランク分け

新方式(平成16年以降)

経営事項審査の総合評定値による参加条件 +

平成13年度以降に蓄積した工事履行成績の各社平均点(平成19年平均点:79点)

【19年度実績】全入札の7割に入札参加条件を付与
(1) 優良業者(83点以上)

全ての案件に参加可能

(2) 平均点以上の業者

全入札の85%の案件に参加可能

(3) 平均点の9割(72点)以上の業者

全入札の60%の案件に参加可能

(4) 71点以下もしくは工事実績がない業者

全入札の30%の案件に参加可能

効果
  • 成績点があがれば受注機会が増えるため、成績条件付入札を行った工事は、条件をつけなかった工事より成績点が高くなる傾向がある。【工事品質の向上】
  • 市内業者の平均点 平成13年:77.29 から 平成19年:80.06 【工事成績の底上げ】
 検査評定の方法
  • 工事成績の計算
    「(1)施工体制」「(2)施工計画及び工程管理」「(3)施工状況」「(4)安全管理」「(5)出来形及び出来ばえ」「(6)必要書類、写真等の提出状況」を100点満点で算出し、その平均を評価点とする。
  • 具体的な算出方法

 6項目の評価点は、工事の種類(土木、建設、機械・建築設備、配水管)により定められた細目を、監督者(工事の担当者)と検査員が評価することで算出される。

評価には主観的なものもあり、職員により点数の差が生まれることがあるため、評価の基準線を別途定めている。

その他特徴的な取組
平均額型最低制限価格

従前の方式

最低制限価格 = 予定価格 ×85%

見直しのポイント:予定価格は契約の上限で、官が決めたもの。適正価格とは、競争入札を通じて市場により決められるものである。

新方式

最低制限価格 = 入札金額の低い方から参加業者数の6割までの額の平均 ×90%

効果:・実勢相場の反映・官製価格からの脱却・極端なダンピングの排除による品質確保

会議の様子の写真
委員の感想
  • 平均型最低制限価格方式に関心を持った。なかでも景況による経済・雇用対策などにも対応したサンプル数(入札金額の低い方から参加業者の6割⇒7割)と係数(90%、85%、80%)が考慮されていること。
  • 都市圏で登録業者数が圧倒的に市外事業者が多いなかで、係数に差を設け市内事業者の育成が図られていることも大いに参考になった。
  • 工事検査の増強や厳正な工事成績評定の実施など、良い工事をすれば受注機会が拡大する制度を取り入れることによって工事品質の向上につながるので、本市でも検討すべきだと思った。
  • 最低制限価格を「入札金額の低い方から参加業者数の6割までの額の平均×90%」という計算出だしており、5社以下の場合は、最低制限価格を設けないとし、適正価格は、競争入札を通じて市場により決められる仕組みは、参考になる。
  • 一般公募入札、請負者の評価方式等、組み入れられてはいるものの、そのあり方の細部については、参考にする事柄は多くあると思う。特に、最低制限価格の決定を発注者が決めるのではなく、入札を通じて決定する仕組みは参考になる。
  • 工事成績を付けることで工事の品質を向上させることにつながる上に、市内業者のレベル向上にもつながり、結果的に税収へもよい影響がでるのではないかと思う。

この記事に関するお問い合わせ先

東広島市議会 議会事務局 
〒739-8601
東広島市西条栄町8番29号 本館9階
電話:082-420-0966
ファックス:082-424-9465

メールでのお問い合わせ

このページが参考になったかをお聞かせください。
質問1
このページの内容は分かりやすかったですか?
質問2
このページは見つけやすかったですか?
質問3
このページには、どのようにしてたどり着きましたか?


質問4
質問1及び2で、選択肢の「3.」を選択した方は、理由をお聞かせください。
【自由記述】
この欄に入力された内容について、回答はいたしませんのでご了承ください。
市役所へのお問い合わせは、各ページの「この記事に関するお問い合わせ先」へお願いします。