身近な地域で出産出来る助産システムの実現と妊婦健診、出産費用の公費負担による無料化を求める意見書

更新日:2016年11月29日

身近な地域で出産出来る助産システムの実現と妊婦健診、出産費用の公費負担による無料化を求める意見書

 救急搬送された妊婦が多くの病院で受け入れを断られた後死亡する痛ましい事故が、奈良や東京をはじめ各地で相次いで起こっている。

全国で産科と小児科の医師、分娩を扱う病院・診療所が減り続け、拠点病院への産科の集約化が進められたが、地域によっては産科の空白地域が広がり、妊婦が出産する病院を探すことさえ難しくなっている。また、集約化された拠点病院では、これまで扱ってきたハイリスク出産や治療に加えて正常出産まで集中し、NICU(新生児集中治療管理室)、MFICU(母体・胎児集中治療管理室)の病床不足、それを扱う医師やスタッフの不足が深刻化している。

本市では、市民が待ち望んでいた「地域周産期母子医療センター」が国立病院機構東広島医療センター内に平成23年7月に開設されることになったが、経費等は自治体にとって大きな負担になることもある。

一方、緊急搬送される妊婦には妊婦健診を受けていない「飛び込み出産」も多く、未受診の原因の多くが経済的理由や労働環境にあるとされている。妊婦健診は出産までに14回受けることが望ましいとされている。少子化対策として、平成21年10月1日から平成23年3月31日までは妊婦健診の14回分が無料となっている。9回分の国の補助と地方交付税による助成は、平成21年度から2年間の期限付きのため、それ以後の財源負担が困難であるとして、全国の市長会や市議会議長会などが恒久的な国庫補助制度の創設などを求める決議を行っている。また、出産一時金の増額も平成23年3月までの2年間の期限付きであり、現在42万円が支給されているが、実際の出産費用は49万円を超えている。

社会保障の最低基準を定めたILO第102号条約では、妊娠・分娩は母性医療給付の対象とされ、本人に経済的負担を課さないことを規定し、国際社会では、妊娠・出産は母子保健サービス、医療サービスとして公費負担されている。

出産は母体と胎児の命に関わる問題であり、安心して出産できる助産システムをつくり、妊娠出産の費用は国の負担又は公的保障を行うべきである。

よって、次の点について要望する。

  1. 誰でもどこでも最低14回の妊婦健診が受けられるよう、健康保険の適用など公的保障を実現すること。
  2. 母体と胎児の命に関わる妊娠・出産の費用は、公費負担の制度を確立し、無料化を実現すること。
  3. 身近な地域で出産でき、産後と育児のケアを担える助産師の専門性の活用を図ること。
  4. 「周産期医療ネットワーク体制」(総合及び地域周産期母子医療センター等)の充実とその情報システムの構築に向けて、自治体へ国の財政投入を行うこと。また、産科医師、新生児治療医師の配置を行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成22年6月18日

東広島市議会

衆議院議長
横路 孝弘 様

参議院議長
江田 五月 様

内閣総理大臣
菅 直人 様

厚生労働大臣
長妻 昭 様

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