登録有形文化財 伊原惣十郎家住宅主屋、他3件
江戸末期から町の産業を支えた鋳物師の住宅
伊原惣十郎家は、伊原一族の中でも「本伊原(ほんいはら)」、「本伊(ほんい)」として知られ、江戸末期から鋳物師(いもじ)として町の産業を支えた一族です。
江戸時代後期に初代が安芸郡海田の鋳物師の植木源兵衛に弟子入りし、文化年間(1804~1818)に独立したと伝えられます。京都御所に燈籠を製作・献上し、宮島の厳島神社の火焼先(ひたさき)の青銅製大燈籠を製作しているほか、江戸末期には広島藩筆頭鋳物師に任命されたと伝わります。
代々当主は「惣十郎」を名乗り、明治以後も主屋の北の丘陵上に工場を維持し、昭和前期までは鋳物師を続けました。現在も敷地の背後の丘に鋳物工場の跡が残り、宅地との間に幅の広い石段と門が残ります。
鋳物師の屋敷として建てられた伊原惣十郎家住宅は、主屋、離れ及び茶室、三階蔵、門及び塀で構成されます。
往時の産業との関わりも見られる貴重な文化財です。
※民間所有の町家であり、主屋以外は通常時非公開です。
非公開施設の見学は外観にとどめ、所有者にご迷惑をかけることがないよう注意してください。

伊原惣十郎家住宅配置図
登録有形文化財 伊原惣十郎家住宅主屋

街路に南面して建つ2階建ての入母屋造の主屋で、堅実な造作が特徴の大型の町家です。現在は飲食店として活用されています。
1階の戸口の両脇に出格子を設け、2階の窓にも出格子を設置しています。
内部は西に土間、東に部屋を3列配置し、そのうち東列には続き間の座敷が2部屋配置されています。
1階出格子には、広島藩筆頭鋳物師の家系らしく、鋳物製の重厚な八双金物(はっそうかなもの)が付けられ、家業との関わりが示されます。
白市の明治期を代表する町家であり、本町の歴史的景観を形成する貴重な文化財です。
基本情報
- 名 称 伊原惣十郎家住宅主屋
- 種 別 登録有形文化財(建造物)
- 員 数 1棟
- 所在地 東広島市高屋町白市1080
- 登録日 令和7(2025)年3月13日
- 年 代 明治4(1871)年頃
登録有形文化財 伊原惣十郎家住宅離れ及び茶室

主屋の北東に位置する入母屋造の離れと、その西に接続する両下造の茶室で構成されます。
離れは門とともに梨本宮殿下御寄宿のために建てられたと伝えられ、実際に梨本宮殿下が明治32(1899)年に御寄宿されています。
離れの内部は南に式台を設け、その北に三室の続き間の座敷を配置しています。座敷は床と浅い床脇を構えた瀟洒なつくりです。座敷の西に縁を付しています。
四畳半の茶室とともに素朴ながら上質なつくりの建物です。
※本施設は、通常時非公開です。
基本情報
- 名 称 伊原惣十郎家住宅離れ及び茶室
- 種 別 登録有形文化財(建造物)
- 員 数 1棟
- 所在地 東広島市高屋町白市1080
- 登録日 令和7(2025)年3月13日
- 年 代 明治前期
登録有形文化財 伊原惣十郎家住宅三階蔵
主屋の北東に位置する切妻造の家財蔵(土蔵)で、主屋から出入りする内蔵です。
白市地区唯一の三階蔵で、限られた空間で収蔵量を増やすための工夫が見られます。
鋳物商の繁栄を伝える貴重な文化財です。
※本施設は、通常時非公開です。
基礎情報
- 名 称 伊原惣十郎家住宅三階蔵
- 種 別 登録有形文化財(建造物)
- 員 数 1棟
- 所在地 東広島市高屋町白市1080
- 登録日 令和7(2025)年3月13日
- 年 代 大正前期
登録有形文化財 伊原惣十郎家住宅門及び塀

主屋の東脇に、離れ同様、梨本宮殿下御寄宿に際して建築されたと伝わる一間の薬医門です。
正面に石段を設け、門口に八双金具を付した両開の板扉を設けています。
赤瓦にシャチホコの飾り瓦を載せています。
塀は切石積の基礎の上に建てられ、外壁は漆喰塗の仕上です。
主屋に連なり歴史的な景観を形成しています。
※本施設は、通常時非公開です。
基礎情報
- 名 称 伊原惣十郎家住宅門及び塀
- 種 別 登録有形文化財(建造物)
- 員 数 1棟
- 所在地 東広島市高屋町白市1080
- 登録日 令和7(2025)年3月13日
- 年 代 明治前期
白市に関する文化財
この記事に関するお問い合わせ先
生涯学習部 文化課 文化財係
〒739-8601
東広島市西条栄町8番29号 北館2階
電話:082-420-0977
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更新日:2025年05月28日